幸せはきっと僕の手の中に…

５話 ページ5

健太｢…ってゆー、ワケだよ…！｣

A｢…は、はぁ…｣

行き交う人混みの中、あたしは彼の話し黙って聞いていた。

…つ、つまり…あの日、あたしとぶつかった時、彼は大事な面接に行く途中で…いざ面接を受けると、どうやらあたしが彼のYシャツにつけてしまった口紅のせいで、面接不合格…となってしまったらしい…。

…それで、あたし怒られてるんだ…←気づくの遅いですよ!!

…それにしても…子供みたいに唇を尖らせる彼を見て、なんだか可愛いと思ってしまったあたし…
思わず笑みが溢れる…！

健太｢あっ！お前！悪いと思ってないだろっ!!｣

A｢いえ！…悪いと思ってます！…本当に、すみませんでした…｣

素直に頭を下げるあたしに、彼はちょっとびっくりした様子…

健太｢…いや…そう思ってんなら…別にいーけどよ…｣
…そのぶっきらぼうだけど、優しげな声に顔をあげると…彼は照れたように、また唇を尖らせる…その、可愛らしい表情に胸がキュンとする…！

今さらながら、あたしの腕を掴む彼の力強くて、大きな掌を感じて…ドキドキが、止まらない…！

そんなあたしの気持ちに気づいたのか、彼は慌てて掴んでいた手を離した…

健太｢あっ…わ、わりぃ…｣
そう言った彼の頬が、ちょっと赤くなった気がして…
あたしはまた…ドキッとしてしまう…！

…なんだかこっちまで、恥ずかしくなっちゃう…

…言葉づかいはちょっと乱暴だけど…本当は、照れ屋さんなのかも…笑

会う度に、話す度に変わる彼の印象…
…彼のこと…もっと知りたい…
もっと近づきたい…
…もっと彼と…話しがしたい…！

ポケットに両手を突っ込みながら、照れたように空を見上げる彼に…あたしは思いきって、問いかけた…！

A｢あっ、あの…良かったら、お詫びに…ご馳走させて下さい！｣

…これって、ナンパって…言うのかな…笑

普段ボーッとしてるあたしからは想像できないくらい…大胆なことしてる…
初めて会った男の人を自分から食事に誘うなんて…

でも！なんだっていい！
このまま彼と…さよならなんて、したくないんだもの…！
まだ、彼と一緒にいたいんだもん!!

健太｢…え…えぇっ!?｣

顔を赤くして彼を見つめるあたしを見て…
今度は彼が、キョトンとする番だった…

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