幸せはきっと僕の手の中に…

25話 健太 ページ25

…なんか…ほっとけねぇんだよな…

肌寒くなってきた外の空気に肩をすくめながら、俺はポケットに手を突っ込み…アイツとの待ち合わせ場所に向かった…

…明音とのこと…俺の中では凄く引っ掛かってて…
正直…この気持ちは、なかなか消えないんじゃねーか…なんて、思ってたけど…
いざ、明音と会ってみると…なんか…たいしたことないっつーか…
…もっと…ツライとか…まだ好きな気持ちがあるんじゃねーか…なんて、感じると思ったんだけどな…

…でも、今は…気になって、しょーがねぇんだ…
ちっちゃくて、可愛くて…ちょっと抜けてて…でも、一生懸命なアイツのこと…

…仕事をしてても、アイツが見たら喜ぶかな…とか、アイツが見たら何て言うかな…とか…アイツのことばっか…考えて…

…俺………どーかしちゃったんじゃねぇの!?

…モヤモヤする自分の気持ちが気になって、今日…アイツを誘った…
今日…アイツとあの場所に行けば、自分の気持ちがはっきりするんじゃないか…って感じたんだ…

…そんなことを思いながら、待ち合わせ場所に着いた俺…だけど…
俺はとんでもない光景を目にすることになる…笑

…ア、アイツ…またナンパされてやがる…！

…触れたら、細くて折れそうな腕を無理やり掴まれて、泣きそうになってるアイツの顔が、この距離でもわかる…！

健太｢…アイツ…！｣
俺は思わず、走り出した…！
知らない男に絡まれるアイツのそばに近づくと、今にも泣き出しそうな声が聞こえてくる…！

ちっちゃくて、今にも泣き出しそうな、か細い声…
でも、俺には…はっきりと…聞こえてきた…！

A｢…彼氏じゃなくても…大好きな人と…待ち合わせしてるの…」

………その瞬間…！
時間が、止まったような…気がした…

アイツの…ちっちゃくて、華奢な肩が頼りなさそうに震える…

………大好きな…って、お、俺…!?

その言葉にドキッとしながらも…俺の身体は頭より先に…動いていた…

…勝手に………触んなよ…

その男から、引き離すように俺は思いきって…アイツの華奢な肩を…引き寄せた…！

A｢…けっ、健太さん…!?｣
俺の腕の中で、小さく驚くアイツの身体にちょっとドキリとしたけど…←笑

今は、ドキドキしてる場合じゃねーし…笑

俺が無言で睨み付けると、その男はそそくさと帰っていった…

思わず…大きく息をつく俺…

…ほんと、ほっとけねぇよ…

俺の腕の中で、俺を見つめるアイツの顔を見ながら、俺は………確信、した…

26話 健太→←24話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す