幸せはきっと僕の手の中に…

13話 健太 ページ13

…まったく…ナンパなんかされやがって…

待ち合わせ場所に着くと、変な男に言い寄られてる彼女を見つけて…なんだか、わかんねーけど…俺はちょっと、いや、かなり…不愉快な気分になった…

…ボーッとしてるから、変な男につけこまれるんだよっ!!

…俺のブルゾンの裾を掴んで、嬉しそうにニコニコ笑いながらついてくる…

…カワイイ…←笑
…さっきだって…

『…健太さんが来てくれて…嬉しくて…』

可愛い声で恥ずかしそうに呟く彼女に、思わずドキリとした…！
それに…あんな潤んだ瞳で、俺のこと…見るなよ〜！
そんなに見つめられたら…
思わず…抱き締めたい…なんて…思っちゃったじゃねぇか…←そんなこと、思ってたんですか!?笑

…ヤバイ…なぁ…

…そんなことを思いながらも…俺達はお目当てのファミレスに入った。

席につき、とりあえずジュースで乾杯する俺達。

A｢健太さん！就職…おめでとう!!｣
…まるで、自分のことみたいに喜ぶ彼女を見て、なんだか恥ずかしくなる…

健太｢ばかっ！大声、出しすぎだって…｣

A｢だって…嬉しくて♪｣
そう言って、無邪気に笑う笑顔に…柄にもなく、またドキドキしてしまう…

…このままじゃ、…マズイ…

思わず彼女の瞳から目を離す俺だけど…
彼女はそんな俺の顔を、じーっと見てる…

健太｢…な、何見てんだよ…！｣←ヒ、ヒドイ…笑

A｢あ、あの！就職先…どんな所なんですか？｣
その問いかけに、俺は思わず飲んでいたジュースを吹き出した…！
…仕事…決まったは決まったんだけど…さ…

健太｢…あ、その………テレビ、関係の仕事…｣
…言葉に詰まる…俺…笑
そんな俺に構わず、彼女はキラキラと瞳を輝かせる…

A｢テレビの仕事！凄いじゃないですか♪
制作とか？｣

…う、うーん…報告するって、言っちまったし…
…顔をあげると、嬉しそうに微笑んでる彼女のおっきな瞳…
嘘…つけねーしな…
…俺は息を吸い込み、俯きながらポツリと呟いた…

健太｢……その、お兄さんだよ…歌の…｣

A｢…歌の、お兄さん？｣
…おうむ返しみたいに聞き返す…彼女の言葉…

…どーせ…笑うんだろ…歌のお兄さんなんて…
俺だって…やりたかねーよっ!!

健太｢…そーだよ…おかっ…｣
A｢すごーいっ!!歌のお兄さんなんてっ！夢…みたい…！｣

俺の言葉なんて聞こえてないみたいに…両手を握りしめてコーフンする彼女に…俺はちょっと、いや、かなり…びっくりしていた…

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