幸せはきっと僕の手の中に…

１話 健太 ページ1

…俺…矢野健太…
仕事も無くて、彼女もいない…
いいことなんて、何もない…
…そんな俺の前に突然現れた…アイツ…。

世間知らずで、いっつもボーッとしてて…ただのめんどくさい女だと思ってた。

…でも…そんなアイツを、何でか分かんないけど…俺……
…放っておけないんだ…。


健太｢あ〜っ!!遅刻する〜っ!!｣
一着しかないヨレヨレの黒のスーツに身を包み、俺…矢野健太は履歴書を握りしめ、人混みの中を駆け抜ける。

…無職の俺は、現在、就職活動中…
今日は会社の面接なんだけど…
昨夜、夜中まで観てた好きなバンドのDVD♪
……そのせいで、まんまと寝坊した…←自業自得ですね…笑

…つーか、就職なんて…ほんとはまだしたくない…まだ、自分の好きなことだけ…やっていたい…けど…

『ばかやろう!!そんな歳にもなって無職の奴がいるか!!さっさと仕事、見つけてこい!!』

昨日…親父に言われた言葉が頭をよぎる…

…俺だって、わかってるよ…そんなこと…
…でも、俺だって…俺だって…色々あんだよ!!
そんなことも知らないくせに、あのクソ親父〜!!←コラコラ…笑

…ほんと…全部が…

健太｢…めんどくせぇ…｣

そう呟きながら、全力疾走で街中を走り抜けようとした時…！

ドンッ!!!!

胸元にぶつかる、柔らかい物体…
俺は思わず、反射的に声をあげた…！

健太｢…っ！あぶねーだろっ！｣

声を荒げたのも束の間…
俺はぶつかってきた、その柔らかい物体に…目を…奪われた…。

A｢す、すみません…｣

そんなに背は高くない俺だけど、その俺よりも10センチ以上ちっちゃい小柄な女の子…
…俺を見上げるその瞳は、申し訳なさそうに…ゆらゆらと、揺れていた…

……か、かわいい…笑

健太｢あっ…いや、こっちこそ…ゴメン…｣

思わず目を伏せ、口ごもる俺…

…な、なんだよ…けっこう、かわいい…じゃん…

彼女に気づかれないように、チラリと顔を盗み見る…
ふんわりした柔らかそうな髪に、透き通るような白い肌、大きく潤んだ瞳……その潤んだ瞳に見つめられて、俺の胸はドキリと大きな音を立てた…！

A｢あ、あの…何か…｣

俺に睨まれて…違う！見つめられて…不思議そうに首を傾げる彼女…

健太｢いや…その……｣

…いくらかわいいからって…俺…何してんだ…
ん？……つーか、こんなこと、してる場合じゃねーし!!

思わず腕時計に目をやる…！

健太｢…やっべ！完全、遅刻する〜っ!!｣

俺は慌てて、その場を走りさった…

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