姉さん 。【伊黒小芭内】

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「小芭内、気をつけてね」


「うん」


「最後まで油断しちゃ駄目だからね
小芭内は右からの攻撃に弱いからしっかり」

「A、ソコマデニシトケ。時間ダ」








肩に止まっている鴉の言葉を聞き、私は口を噤む。

小芭内は今日、最終選別を受けに行く。
合格条件は"7日間鬼のいる藤の花の山で生き残ること"で、とても過酷な内容だ。
その最終選別で死なないため小芭内を鍛え抜いた、小芭内は強くなった。
それは私が一番分かってる、分かってるけど…

自分の手をぎゅっと握り、下を向く。
目の奥が痛い。喉が痛くなり上手く呼吸ができなくなる。そのせいで言葉が紡げない。

爪が喰い込むほど私は手を握り、奥歯を噛んだ。
そしてゆっくりと顔を上げ、小芭内を抱き締める。








「生きて帰ってきて。
お願い、小芭内。死なないで」







喉から声を出し、言葉を紡ぐ。
力強く抱きしめていると小芭内は私の背中に手を回し、耳元でこう言う。









「死なないよ、必ず帰ってくる。
だから姉さん、家(ここ)で待ってて」









それを聞いた私はゆっくりと小芭内から離れ、頬に伝う涙を拭い微笑みながらこう言った。









「…っ、うん、小芭内が帰ってくるの待ってるね
美味しいご飯作って、温かいお風呂沸かして待ってるから」








『生きて帰って来てね、頑張ってね小芭内』









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雨の音。

仲間の死骸。

雨に混じって地面に流れる血。

目の前には____








「君もう死にそうじゃないか」








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