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「流石に面倒見切れないから私の師範紹介したけど、それで良かった?」
「…ああ、礼を言う」
悲鳴嶼の隣に立ち、私は彼にそう言った。
今日は半年に一度の柱合会議。
お館様が来るまで少し時間がある。私はそう思いながら話をする。
「あの子たちがもし逃げ出さなかったら私の妹弟子になるね」
「そうだな」
「…でもカナエちゃんはまだしもしのぶちゃんが仮に隊士になったとしてもきっと鬼の頸は斬れないよ」
私は腰にある刀に触れながらそう言った。
しのぶちゃん、彼女は小柄すぎる。それ故、隊士になったとしても鬼の頸は斬れないだろう。
「あの子たちが望んだことだから育手を紹介した。あの子たちの人生だから深くは言わなかった。
…だけどさ、悲鳴嶼」
「……なんだ」
「あの子たちを地獄に導いてるようで、苦しいよ。
私はあの子たちの未来を奪った」
私は奥歯を噛み締め、そう言いながら下を向く。
カナエちゃんしのぶちゃんだけじゃない、小芭内もだ。私はあの子を地獄に招いてしまった。
鬼がいなければ姉妹は今も両親と幸せに暮していただろう、小芭内も家族と仲良く暮していたかもしれない。
そんな愛らしい子たちが怒りを、憎しみを抱えながら刀を握らなければいけない、そんな世界が厭わしい。
そして何より____
「おい、お館様がいらっしゃるぞ」
「はーい」
いつの間にか来ていた槇寿郎さんにそう言われ私はいつもの定位置へと向かう。
そして何より、あの子たちを信じきれず後悔している自分が一番厭わしい。
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彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月19日 6時) (レス) @page49 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
りと - めっちゃ好きです♥更新頑張ってください!! (2022年1月24日 21時) (レス) id: 2ccb8f6bcc (このIDを非表示/違反報告)
狐(プロフ) - こんばんは!とても続きが気になり、どうなるんだろうととてもわくわくする面白い作品ですね!続きが読みたいです! (2021年9月29日 0時) (レス) @page49 id: 917c4d3c4b (このIDを非表示/違反報告)
チハル(プロフ) - 続編も楽しみにしてます (2021年9月22日 18時) (レス) @page49 id: e4687a0a1e (このIDを非表示/違反報告)
love - こっっ、こんにちは!すっっっ、好きです!(唐突)更新頑張ってください! (2021年9月21日 16時) (レス) @page48 id: b68826d87c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コンペーと | 作成日時:2019年12月27日 0時