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あれから私の膝で寝てしまった真希と真依を起こさないように布団に寝かせ、手紙を置き部屋を去る。
手紙には私の部屋を好きに使っていいなど色々書き、そしてお土産として和菓子を隣に置いといた。
私の部屋には滅多に人は来ない。
きっと真希も真依も肩の力を抜くことが出来るだろう。そんなことを思いながら私は玄関が見える縁側に座り煙草を吸う。
「能があらへん、男も立てられへん『落ちこぼれ』が何しに戻って来たん?」
「………あんたは女をおちょくらな生きていけへんの?直哉」
口から煙をフーと出しながらそう言葉を返す。
久しぶりに見るそいつの顔。血の繋がっている男。戸籍上は私の弟。
「そないな口の悪い子に育っておねえ寂しいわぁ」
「きしょいこと言わんといてくれる?俺はあんたのこと姉や思ったこと微塵もあらへん」
「あ、そう。ぶっちゃけ私も君のことはどうでもいいかな」
そう言いながら短くなった煙草を携帯灰皿に捨て、新しい煙草を出す。
「はぁあ〜こんな男どもに囲まれて育った私可哀想」
「可哀想?そら俺の方やろ。出来の悪い兄に『落ちこぼれ』な姉。そう周りから見られる俺の気持ちも考えてくれへん?」
「『落ちこぼれ』の私のおかげで君の評価はどんどん上がっていく。良かったの間違いじゃないの?」
煙草をくゆらせ、微笑みながら直哉を見る。
直哉は私の言葉に顔をしかめ、チッっと舌を打った。
そして前を向いている私の神経を逆撫でするような抑揚と響きのある声でこう言った。
「そういや聞いたで、あんたがこの家出た理由。真希ちゃんと真依ちゃんのためやろ?」
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海(プロフ) - おもしろい!!主人公が姉貴って感じなのがもうたまらん!ほかの小説も読んでます!頑張って下さい!続きまつ待てます! (2022年1月6日 18時) (レス) @page26 id: 5a4a023340 (このIDを非表示/違反報告)
Anya(プロフ) - これおもろいなぁ!こーゆー設定の話好きやわぁ!……続き待っとります。 (2021年10月27日 21時) (レス) @page26 id: f79d6adc42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続きが気になるー (2021年7月22日 20時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コンペーと | 作成日時:2021年4月7日 17時