Stuck w you

S23 ページ23

「ともを抱きしめたいねん」

「えっ」

「ダメかな？」

前まで何にも気にしてなかったけど、今抱きしめたいって言われると違う意味合いに聞こえて身構えてしまう。

「どういう意味なん？」

「…好きやから、心配やから」

好きって当たり前だったのに今は真意がわからなくてただただ戸惑った。
でも少し焦ってるように聞こえる。

距離を取ろうって思ったのに、大毅から話しかけられると嬉しいって思ってしまう。
小さい頃はなんでも出来る大毅の気を引くのに必死だったから。

どうすればいい。
好きってどういう意味…？





・





「ごめん、困らせたいわけじゃないねん」

「…うん」

「また、会いに来るな」



大毅が踵を返し離れていく音がする。
何も言わない俺がもどかしかったのかな。

声が震えていた気がして、こっちが心配になる。

そっとカーテンを開けても、もう大毅はいなかった。
そりゃそうか、俺が追い出したようなもんなのに置いていかれた気分になってて、自己中すぎ。

椅子に俺の鞄とはべつにもう一つ大きめの袋があった。
中を見るとお気に入りのゲームと、カーディガン、もこもこのパジャマ、大毅が２年生のときのテスト答案用紙と問題集が入ってた。

カーディガンとパジャマは寒くなって来たから着ろってことかな。
テストは勉強の足しにしろってこと？

あぁ、そうか。
大毅にもうテスト勉強見てもらえないんやった。
それでもわかるように、テスト範囲とかポイントをわかりやすく書いてくれてる。


俺自分の気持ちどころか、ありがとうさえ伝えてない。
大毅の気持ちを知ることからも逃げてる。

大毅の優しさがこんなに嬉しかったのに。

本当はわかってる。
大毅の気持ちがどうであれ、一回のキスで離れられるわけがない。

この気持ちなんなん。







「…だいきっ…」

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