君を甘やかしたい (ページ9)

今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:17,853 hit

▷9 ページ9

「後輩くんたちもありがとう！
重岡くんと藤井くんに言いにくいこととかあったら何でも私に言ってね！
いつも怖いでしょ、大丈夫？
2人とも本当は良い人なんだけど、不器用なのよ」

なんのフォローやねん。
そんで、いろいろ勘違いするな。
呆れて言葉を発する気にもなれなかった。

「…あの、
重岡さん2人のときはいつも優しいです」

その言葉に一気に視線が神山くんに集まり、戸惑ったのか俺の後ろに隠れてしまった。

毎日指導してる神山くんからそんな言葉が出てくるなんて、俺まで照れる。
嬉しくて俺の後ろにいる神山くんの手をぎゅっと握った。

「流星さんも優しいですよ。
仕事楽しいです」

小瀧くんが素直に想いを伝えると当然流星もわかりやすく照れた。

「そ、そう。
まぁ大人だし愛想良くしないとね。
なんかあったら言ってね」

2人の答えに腑に落ちない顔した笹本が、他の同期の元に帰っていった。

・

「なにもないっちゅうねん」

「うざ絡みやばかったな」

「ほんまに」

今夜は改めて飲み会は俺に必要ないものって確認する良い機会になった。
きっと３人もそう思ったやろうけど。

駅まで4人で一緒に帰ったけど、神山くんは眠いのかあまり自分のこと話さなかった。
でも、家ではめっちゃインドア派。家でゲームしてて１日が終わるなんて日もザラにあるってことは教えてくれた。

俺はたまにボクシングにいくか、家でピアノ弾いてるって言ったら神山くんから羨望の眼差しを向けられた。

距離が少しずつ近くなるのが柄にもなく嬉しかった。