君を甘やかしたい (ページ21)

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"なんでも卒なくこなす出来る子"って言うのが神山を取り巻くイメージ。
想像できなかった神山の過去に触れて、近くにいたのに全然神山のことを知らなくて悔しかった。

今腕の中にいる神山を守りたいって、俺がそばにいなきゃって思いが沸々とわきあがるのを感じる。

しばらく抱きしめあってだけど、俺のお腹の音が鳴って顔を見合わせた。

「お腹空きましたよね。
今ご飯作りますね」

「あ、ありがとう」

いつも手作りの弁当持って来てるから料理はするんやろうなって思った。
手際が良く、キッチンに立つ神山が新鮮で気づいたらずっと見つめてしまった。

「髪の毛、明るいの似合うな」

「明るくするの好きで連休の前の日は染めることが多いです」

「仕事の前に戻してるん？」

「そうです。
なので明後日には戻さないとなって」

「キレイな髪の毛やな」

「重岡さんの方がキレイな髪の毛です。
僕、好きです」

「え？」

「あの、
キレイな髪の毛が好きやなぁって」

「そ、そうなん」

今の神山からの好きってワードは威力が強すぎて敏感になってまう。

俺さっき勢いで好きって言うところやった。
目の前の神山がどうしてもほしいって思ってしまったから。

簡単に言えないけど、でもいつかはちゃんと大好きやって言いたい。

・

「うまっ！
めっちゃ美味しいんやけど。
神山こんなん作れるってすごいな」

「料理するの好きなんです。
お口に合って良かったです」

「久しぶりにちゃんとしたご飯食べた」

大袈裟ですって言いながら微笑む神山。
その顔から緊張感がなくなるのがわかって心から嬉しくなる。

神山はこの前話してくれたとおり、小さい頃からおじいちゃんと暮らしてて、２年前亡くなってからここに１人で住んでるんやって。

新人が一人暮らしでこんな広い家って可愛くないですよねって言うから、そんなことないよって言ったら困ったように笑った。