君を甘やかしたい (ページ20)

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「昨日は勝手に帰ってごめんなさい。
心配かけるつもりじゃなかったんです」

「俺こそ、急にあんな話してごめん。
神山の話聞いて、自分より下がいるから良かったとか、可哀想とか思ってないよ。

神山がどんな思いでいたかって考えるといてもたってもいられなくて、ただ心配だった。
俺神山のことただの後輩じゃなくて、もっと大切に思ってる」

「…」

「俺もっと神山のことわかりたいし、そばにいたい。
小さいことでも力になりたいねん」

「…そんなこと言うと、他の人に勘違いされちゃいますよ。
僕は大丈夫です。ダメになりそうなときはちゃんと周りに頼って生きてきましたから」

「そのダメになりそうなとき、そばにいるの俺じゃあかん…？」

少しの距離がもどかしくて、手を握って見つめると神山の瞳が揺れた。

「あの、ありがとうございます。

重岡さんの気持ち本当に嬉しいです」

「うん」

「僕人に頼るの苦手で、本当の僕は重岡さんが思ってるよりずっとわがままで暗くて可愛げもないです。

それでも、重岡さんにはもっと自分のことを知ってほしいって思ってもいいですか…？」

「あたりまえやろ」

まだ躊躇いがちな神山の手を引き、俺の腕に閉じ込めた。
思ってたより華奢な身体と、柔らかい香りが鼻を掠めて愛おしさが増す。

神山ってこんなに可愛かったんやって、俺はさっきから毎分小さな感動があるのに、本人は素の自分を見られることに落ち込んでるみたい。

「俺、神山のこともっと知りたい。
どんな神山でもいい、素直に甘えて欲しいんよ」

「はい…」

少し強張ってた身体から力が抜けて、神山の手が俺の背中に回ったときは心からホッとした。

まだまだ神山の素が見れるのは先かもしれないけど、少しずつでも新しい一面が見れたらきっと、めっちゃ嬉しい。