君を甘やかしたい (ページ2)

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「今日から新しい子たち来ますね。
重岡さんなら大丈夫ですよ。
顔良いし、仕事早いし」

「あ、ありがとう」

後輩の伊藤さんにまでそんな励ましを受けるけど、あまり褒められてる気がしなかった。
今年はメンズが多いみたいやし、顔も、仕事早いのも新人には関係ないやん。
てか俺どんだけ心配されてるん？笑
たしかにコミュ力は低い方やけど。

"重岡は仕事早いけど、雑"ってよく上司の淳太と照史に言われるから、丁寧に教えればいいんやろ。
頭ではわかってるねん…。

とりあえず研修明けでうちの部署に配属になるのは６人。うち男４人の女子2人らしい。

「しげ、昼ごはんいかん？」

「ん、いく」

流星も教育担当やけど、前向き。
弟が欲しかったから、仲良くなって遊んだりしたいらしい。
後輩は何人もいるのに無駄に顔が良い流星は、周りから近寄りがたい存在になってる。
本人は何も考えてないんやけどな。

「今日新人なにするんやっけ？」

「しばらくオリやろ？
もう教える子決まってるみたいやで」

「…そうなんや。
俺の子、辞めたいって言ったらフォローしてな」

「もうそんな心配？
しげ愛想ないから冷たく見られやすいよな。
彼女に話すみたいに優しくやればええねん」

「え、どうせ男やろ」

彼女、か…。
最後に恋したのはかれこれ３年前の思い出したくない苦い過去。
あの時の俺はもう少し明るい性格だった。
恋愛体質じゃないのに、失恋でこんなに変わるなんて思ってもみなかった。

自分で思い出して傷を抉るようで後悔した。

「まあ、何かあったら協力しあっていこうや」

返す言葉が見つからない俺に流星は気遣ってそんな言葉をかけてくれた。

「あぁ、ごめん。
なんかあったら連絡させてもらう」

俺は口下手やし、自分のこと話すの好きじゃないから過去の話もしたことがない。
流星に聞かれても適当に流すだけ。
今はプライベートより仕事で昇進したい気持ちが強いし。
俺なりに明るく振る舞って社員食堂を出た。