君を甘やかしたい (ページ1)

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４月。
仕事帰りに会社の先輩の淳太、照史と同期の流星で飲み屋に来ていた。
俺らは高校からの先輩後輩やから、2人は年上やけど呼び捨て、タメ語で話してる。
なんなら、今の会社も淳太の勧めで入った。
ちなみにこの店の店主、濵ちゃんも俺らの先輩。

「あ、そうや。
しげと流星、今年は新人指導してもらうから」

「「は？」」

「大丈夫、2人だけじゃないし俺らもフォローするから」

「なんで、俺らなん？」

「なんでって、毎年５年目がやってるやん」

たしかにそうやけど、俺らの同期多いからまさか自分たちにその役回りが来ると思わなかった。
流星はともかく、俺は教えるのも上手じゃないし頼られやすいタイプでもない。

大学出て医療機器メーカーで働き始めて５年目。
仕事にもなれて個人成績も伸び始めてたのに足枷を食らった気分。

…まあ、でもなんとかなるか。
ちびちびとお酒を飲みながらそんなことを考える。

「俺濵ちゃんみたいに優しく出来へんしなあ」

「濵ちゃんになれたらしげじゃなくなるやん。
あれは無理よ」

「そうやで、しげらしくでええねん。
今年は照史の推薦で入った子も何人かいるで。
まあ誰とは言わないけど優しくしたってな」

「可愛い子？」

「秘密♡」

「は？」

「まあ楽しみにしておいて～」

照史はとにかく顔が広いから誰が知り合いでもおかしくないか。
２人は明らかに俺らが混乱するのを楽しんでた。

なんなん、俺らは酔いが回って眠くてその話には乗り気になれなかった。
いつも話が急すぎるねん。

「しげも流星もあまり気負いせず、お腹空いたら俺のとこおいで。いつでもサービスするから」

「いつもありがとう、濵ちゃん」

カウンター越しから覗く、笑顔の濵ちゃんの優しさが染みる。
俺ら４人は何かあるといつもここに飲みに来て愚痴を聞いてもらっていた。