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第104話 ページ7
「…スカートを、
切られちゃって」
辰哉先輩は 静かに頷いた
それにすぐ気づいたから
さっき ジャケットを渡してくれたんだよね、きっと
「私、
何かしたかなって
でも心当たりが無くて…」
思わず口から出てきそうになった
私の家の事情も ぐっと飲み込む
その反動からか
また 涙が溢れそうになって
辰哉先輩が
私の目を真っ直ぐに見つめる
その優しい目を見て
堪えていた涙が 一気に溢れ出す
「ごめん、なさい」
辰哉先輩の手が伸びて来て
私の涙を そっと拭う
Aちゃん、と名前を呼ばれて
俯いていた顔を上げると
辰哉先輩が ぐっと私へ距離を縮める
そして
辰哉先輩は 壊れ物を扱うように
そっと 私を抱き締めた
シャツ越しに伝わる 先輩の温もりと
変わらない 優しくて少し甘い香水の匂い
先輩の髪が 首元に触れて
初めての感覚に 戸惑ってしまう
「辰哉先輩、」
そう呼ぶと
…るから、と小さく聞こえて
「今、何て…」
そう聞き返すと
抱き締める力を 少しだけ強くして
辰『守るから、』
そう言った 辰哉先輩の声が
少しだけ震えているように聞こえて
その声に縋るように
先輩の胸に 身体を預けた
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作者名：Laba | 作成日時：2020年6月25日 23時
