落ちるはずのない恋【3】 (ページ5)

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第102話ページ5

廊下をひたすら走り

疲れ果てて歩き始めると

頭が少し冷静になり

さっきの出来事が蘇る

…どうして、

私何か悪い事した？

なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないの

スカートを手で押さえながら

渡り廊下に差し掛かると

丁度中庭が見えて

息苦しくなり、外の空気を吸いたくなった身体は

無意識にそちらに向かう

校内に、授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響き

もう教室に戻る気力も無くて

教室に戻ったら

また生徒達に笑われて女子から噂されるんだろうな

「っ、」

必死に我慢していたけど

もう限界で

溢れ出した涙は止まらなくなっていた

自分の足元に次々と涙が零れ落ちて

もう片方の手で乱暴に拭っても

我慢の限界を迎えたせいか止まらないまま

顔に掛かった涙で濡れた髪を

掻き分ける

「なんで…」

なんで私が、こんな思いしなきゃいけないの

誰かに話したい

でも、話せない

自分の全てを見せてしまったら

自分という存在も否定されてしまう気がして

でも、苦しい

辛い

私の今の現状は

自分の小さな心ではもう、抱え切れなくなっていた

中庭に差し掛かると

涙で滲んだ視界の中

ベンチに座っている人影が見えた

誰だろう、

もう授業は始まってるはず

その人影は

私の気配に気づいたのかこちらを向く

『…Aちゃん？』

耳に優しい聞き慣れた声がして

涙を乱暴に拭うと

その人影の姿が鮮明に見えてくる

「…辰哉先輩、」

ベンチに座っていたのは

他の誰でも無く、辰哉先輩だった