７ ページ7
.
陽気に去ってゆく背中から数秒目が離せずにいたが、
ハッとして急いで携帯を取りして電話をかける。
『…あかあし？』
とてつもなく長く感じられるスリーコールの後小さくぷつんと音がする。
しばらく聞いていなかった、けれどずっと欲していた声が
俺の名前を呼ぶ。
落ち着いた声のトーンが俺の緊張を確実にほぐす。
「……」
『…赤葦だよね？試合、大丈夫なの？』
勢いで電話をかけたのはいいもの、何も言う事は考えていなかった。
『…もしもし？』
少し気の抜けた声。
電話の向こうで首をかしげる藍沢の姿が浮かんで
今すぐにでも彼女に会いたいという衝動が駆け巡る。
『なにかあった？』
心配そうな彼女の声の後で1限目の5分前を知らせる音が聞こえる。
ただ声が聴きたかった
そんな甘い言葉を言うには
今の俺たちの関係上恥ずかしすぎる。
なんで住吉つたいに応援してきたのか
チア部の方は大丈夫なのか
言いたいことをまとめられず結局何も言えないでいると、
ぽそりと小さな声が聞こえる
『……えっと、じゃあ、独り言だと思って聞いてほしいんだけど
昨日は、ちょっと突き放すようなこと言っちゃったけど
今日、本当は会場で直接赤葦のこと応援したかった。
明日コートで踊るね。』
A―、と背後で彼女を呼ぶ声が聞こえる
彼女は『じゃあ』とつぶやきぷつり、と電話が切れた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハク(プロフ) - 素敵な作品に出会えてよかったです…！！ 優しい言葉の選び方がとても好きです。ありがとうございました！ (2020年6月24日 23時) (
レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - みぅぅさん» そんなことを言ってくださるなんて最高に嬉しいです…ほんとは何回も消そうと思ったんですが、書き続けてよかったです。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: c22b253f54 (このIDを非表示/違反報告)
みぅぅ(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです。書き方もとても綺麗です。惹き込まれる書き方をしていて、とても凄いです…。これからも、応援しています。 (2020年6月11日 16時) (レス) id: 128c00d887 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiki | 作成日時：2020年6月10日 15時
