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表彰と閉会式が終わり、撤収の準備をする。
片づけをしながらコートから会場を見渡して彼女の姿を探す。
3階の客席に他の部員は残っているが、そこに松葉づえのシルエットは見当たらない。
仕方ないかと廊下を歩いていると、かしゃんという音が前方から聞こえ、
階段の上から松葉づえが一本落ちてきた。
え…
階段に急ぎ足で近寄ると、
不格好に手すりにつかまってけんけんで階段を降りようとする１つの人影。
見上げると、最高に機嫌の悪そうな顔をした藍沢がいた。
『…赤葦』
転がった松葉杖を拾い上げ、階段を一段一段ゆっくり上っていく。
彼女もまた動きをとめて俺を待つ。
彼女の１段下で足を止め、正面、同じ高さの彼女をじっと見つめる。
頬には涙の跡がうっすらと残っている。
長い沈黙の後、口開く。
「勝ったよ」
すると途端に彼女の顔が歪んで、
目にはたちまち大粒の涙がたまっていく
『っ、…おめでとう』
彼女の頬にガラスのような雫がいくつも伝う
俺は、人の涙をこんなに美しいと思ったことはない
両手で綺麗な泣き顔を覆い隠そうとするから、
その手首を空中で捕まえ唇にキスをした
彼女は一瞬驚いた顔をしたが、
キスを受け入れ、ゆっくり目を閉じた。
彼女が目を閉じると、また涙がこぼれてくる。
彼女の唇を伝って涙の味が口に広がる。
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ハク(プロフ) - 素敵な作品に出会えてよかったです…！！ 優しい言葉の選び方がとても好きです。ありがとうございました！ (2020年6月24日 23時) (
レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - みぅぅさん» そんなことを言ってくださるなんて最高に嬉しいです…ほんとは何回も消そうと思ったんですが、書き続けてよかったです。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: c22b253f54 (このIDを非表示/違反報告)
みぅぅ(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです。書き方もとても綺麗です。惹き込まれる書き方をしていて、とても凄いです…。これからも、応援しています。 (2020年6月11日 16時) (レス) id: 128c00d887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki | 作成日時：2020年6月10日 15時
