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『赤葦、勝って』
右足を固定され、松葉を持った彼女
急いできたのか、息が上がっており、目には涙を浮かべている。
打撲か、骨折か、人体か
そんなことはどうでもいいと
自分の事を顧みず、俺に勝てといった。
少し震えた応援の声。
その声は周囲から切り取られたように俺の脳に響き、
まるで砂漠の地が水を得たように潤っていく。
深く呼吸を吐いて、空になった肺で思い切り空気を吸いこむ。
「赤葦次サーブ」
「はい」
「勝とーぜ、あかーし！」
「もちろんです」
はは、と先輩たちに頭をくしゃくしゃに撫でられる
見据える先は一点
ピーっという笛の音と共にボールをはじく
丁寧に、大胆に
レシーバーの間をすり抜けて、ボールはコートのエンドラインぎりぎりを目指して弧を描く。
「アウ…トか？！」
見合って動けなかったレシーバーが一斉に審判を仰ぐ。
ピッ
旗が下ろされ、得点の笛が鳴る
「！あ、あかーしなーいすー！」
「おいおい、お前どんだけ肝座ってんだよ」
13-13
まだまだ。
もう一度深呼吸。
『がんばれっ…』彼女の声が聞こえた気がした
相手がエンドラインを警戒して後ろに下がったのを確認し、
今度はネットギリギリを狙う
ボールは1度ネットに掴まり、相手コートに落ちる。
「くっそ、今度は前だ！」
サーブが入ったのを確認すると、スパイクに入る体制に入る。
相手はボールを返すだけで精いっぱい。
「あかーし！叩け！」
相手の崩れた陣形を整える暇も与えず、
チャンスボールになって帰ってきたボールをたたき返した。
「赤葦ナイス！」
「やだ、やっぱうちの子自慢の子だわ」
14-13
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ハク(プロフ) - 素敵な作品に出会えてよかったです…！！ 優しい言葉の選び方がとても好きです。ありがとうございました！ (2020年6月24日 23時) (
レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - みぅぅさん» そんなことを言ってくださるなんて最高に嬉しいです…ほんとは何回も消そうと思ったんですが、書き続けてよかったです。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: c22b253f54 (このIDを非表示/違反報告)
みぅぅ(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです。書き方もとても綺麗です。惹き込まれる書き方をしていて、とても凄いです…。これからも、応援しています。 (2020年6月11日 16時) (レス) id: 128c00d887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki | 作成日時：2020年6月10日 15時
