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本気になっても馬鹿なだけ、というのは重々わかっている。
わかっていても、廊下ですれ違った時、
真っ先に彼を捕らえてしまう自分の瞳を呪う。
向こうも私を見つけたようで、一瞬目があう。
だけどそれはすぐにそらされ、彼は何事もなかったかのように前を向いて歩き続けた。
ずきん、と心が悲鳴を上げる。
わかってる。彼にとって私はなんでもない事くらい。
こんなの阿保だ。
そう思っても止められない
今なら、「試し」と言って先輩と付き合った自分の愚かさが痛いほどわかる。
「赤葦くん！」
私のではないかわいく明るい声が彼を呼び、
同時に私の横を３人の女子が通り過ぎる。
真ん中にいるボブの髪をした子が、少し緊張した様子で彼に何かの包みを差し出した。
お菓子か何かだろう。
「し、試合お疲れ様！準決勝も頑張ってね！それで、あのね。これ作ったの。よかったら…」
「え、俺に？ありがとう」
そういって口元を緩める彼の端正な笑みに
女の子たちはたちまち見惚れてしまった様子。
私は見ていられなくて目線を下げた。
「もてるね〜赤葦」
その一部始終を私の隣で見ていた瑞希が唸る。
「こないだはバスケ部の1年女子から告白されたって」
『瑞希、赤葦と知り合い？』
「…まあ次期部長候補同士だし、ちょくちょく、ね」
彼がもてるのはなんとなく知っていたが、
恋愛の話はなんとなく避けてきたから細かい事は知らなかった。
そっか、部長候補か。
…私、赤葦の事何も知らないな
遊び相手にはそんなこと話してもしょうがないか
積もる想いと不安をどうする事も出来ないまま、
重たい心を引きずって体育館へ向かった。
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ハク(プロフ) - 素敵な作品に出会えてよかったです…！！ 優しい言葉の選び方がとても好きです。ありがとうございました！ (2020年6月24日 23時) (
レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - みぅぅさん» そんなことを言ってくださるなんて最高に嬉しいです…ほんとは何回も消そうと思ったんですが、書き続けてよかったです。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: c22b253f54 (このIDを非表示/違反報告)
みぅぅ(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです。書き方もとても綺麗です。惹き込まれる書き方をしていて、とても凄いです…。これからも、応援しています。 (2020年6月11日 16時) (レス) id: 128c00d887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki | 作成日時：2020年6月10日 15時
