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デビュー ページ5

Side You 〜2013.11〜




いつだっただろう。

B.A.Dと濱田くんと私、そして7WEST


8人で、デビューできるかもしれない、





なんて話があったのは。










“ 年明けに、七星のソロデビューを考えてる。”







久しぶりに東京の事務所に呼ばれたかと思えば

普段はなかなかお目にかからないようなお偉いさんまで揃って

口外無用とこの話をされた。



なんでこうなったんやろ。






『ソロ、ですか?』

“ 七星はうちの事務所で今、たった1人の女の子ってところで話題になってる、ファンもかなり定着してきたと聞いてる。1人でも、やれるだろ?”





やっと出た疑問に、淡々と返された言葉は

私やからデビューさせたい、なんて気持ちは1ミリも感じられなくて

女やから、か、なんて分かりきってたことに落胆する



帰りの新幹線の中でも、その言葉だけがぐるぐる頭の中を渦巻いて

自分の存在意義すら、分からなくなっていた。






「おかえり」

橙「ななおつかれ〜!」


『ただいま、です』


「どうしたん?疲れた?」





新大阪に着けば、これからリハに向かうっていうB.A.Dのふたりがわざわざ迎えに来てくれていて

周りに支えられてることはすごく実感できた







口外無用。


いくら大好きな2人でも





いくら、淳太くんだとしても








この話が出来るわけなくて






『久しぶりに東京行ったら、人多くて迷子なるかと思って、笑』

橙「ほら、やっぱ俺着いて行こか?って言うたやん!」

「照史は東京行きたかっただけやろ、なんもないのに」

橙「可愛い可愛いななさんをお守りするって使命があったんやん!なあ?」

『.....照史くん、一緒に迷子なりそうなんで、笑』

橙「ちょっ、お前ほんま!笑」






モヤモヤした気持ちを隠して一緒に笑う

関西ジュニアの冬は、まだまだこれから




てか、全国ツアーも東京と名古屋しか出してもらわれへんかったのに

ANOTHERやって、松竹座だけやったのに


なんで私なんかをデビューさせるん、事務所は。






いつもの稽古場に着けば他のみんなもチラホラ集まってて

なんやろ、

8人でって話を聞いてから、直接その話はしなくとも

8人それぞれがもっと力を入れようって、何となく伝わってて


そんな空気が大好きやから


同じ気持ちでいられない自分が悔しくて、情けなくて




始まる前も、休憩も、逃げるように別室で

ただ、ただひたすら踊り続けた。



それを見てた人がいたなんて、気づかずに。

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作者名:るん | 作成日時:2023年5月14日 1時

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