甘い日常 (( 永瀬 廉 ))

5: another story ページ5

(( お家デート中 ))









昼はAの手料理だった。









信じられへんくらい美味しかったわぁ()









ソファーからふとキッチンを見るとAの綺麗な横顔が見えて









…あの日もそう言えば、この横顔を見たんやな。









それは俺らが初めて出会った日。









Aは高校入学と同時にこっちに引っ越してきてん。









入学式の日、右も左も分からへんあいつは、駅で迷子になっとって。









同じ高校の制服やって知っとったから、俺が声かけて学校まで一緒に行ってあげたんや。









「 ほんとに助かりました！ 」









なんて満面の笑みで言われたら、照れてしまう。









『 ええよええよ、おかげで知り合い増えたんやし 』









彼女の笑顔を見ていると、こう返事する声もうわずってしまった。









駅から学校までの道にちょうど桜が咲いとって、2人で歩いてるときにちょうど風が吹いた。









「 … んわ 、 綺麗〜っ！ 」









花びらが散る中、きらきらした笑顔で桜の木を見上げとったA。









その横顔を見たとき、不覚にも胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚に襲われてん。









守らなあかん、とか、隣におりたい







そんな気持ちでいっぱいになって









『 …ほんまやな 』









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「 …れーん、何ぼーっとしてるの？ 」









そう言ってAに顔を覗き込まれる。








あのときのあの子が、隣におってくれる今はどんなに幸せなんやろ。









「 れーんってば、…っちょっと / 」









愛おしさが溢れて、思わず羽交い締めにした。








「 ちょっと苦しいよ〜 」





『 うるさい 、 あほ 、 好きやで 』









あの時から好きやった、なんて
いつか教えたろ 。









( another story. fin. )

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