無事に 一 ページ1
彼が赤紙を貰い数カ月が経った頃、日本が負けた事をラジオで聞いた
日本の負けに共に聞いていた人達は啜り泣いた
私は勝ち負けなんてどうでも良くてただ貴方の無事が気になって仕方なかった
「おばさん、あの人無事でしょうかね」
「っ!貴女は若いんだから、早くあの子のことは忘れ「忘れませんよ…忘れることなんてできないし、したくありません」……Aちゃん」
「あの人は口は悪いし不器用だけど優しいんです。あんなに優しくて素敵な人はあの人しか居ないしあの人以外は眼中に入りませんよ」
「私の初恋も、これから愛し続けるのもあの人…勝己、ただ一人だけです」
おばさんはそう言う私に、呆れたような嬉しそうな顔で微笑んでくれた
「じゃあ、片付け手伝って「(ﾄｽｯ)」!!誰「さっき言葉嘘じゃないだろうな」!?」
少し高い位置から鼓膜を揺らしたその声
嘘だと思った
けれど今この私を抱きしめいる腕も、独特の甘い優しい香りも全部、全部
「勝己っ！」/「勝己」
口を両手で押さえ瞳を潤ませているおばさんの震えた声と私の声が貴方の名を呼ぶ
「ただいま」
「っ…おかえり…勝己っ」
お腹に回された貴方の腕に自分の手を重ねながら返し、振り向こうとすると強く抱きしめられた
抗議の声を上げようと口を開く前に貴方の言葉が遮る
「さっきの言葉、本当か……」
「……本当よ」
「どんな姿になろうとも俺の事愛してくれるのか？」
初めて聞く貴方の不安に揺れる声にハッとする
よく見れば私を抱き締めたままになっている貴方の左腕には包帯が巻かれていた。その包帯からは少しだけ火傷の跡が見える
「……それは見てからではないと分からない」
私の言葉に痛いほどきつく抱きしめていた腕が徐々に緩んでいき腕が離れた所でゆっくりと貴方の方を振り返る
貴方は左腕から左肩にかけて、そして帽子で隠すように左目にも包帯がしてあり私の反応を待っているようだった
「これくらいで、貴方のこと嫌いになる訳ないでしょう……貴方こそ私がどんな姿になっても愛してくれるの？」
微笑んで問いかけた私を勢い良く帽子を脱いでみた貴方の右目は大きく見開かれた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天魔神(プロフ) - みかんさん» そうなんですよ!せめて番外編だけでも二人を幸せにしたくてつくっちゃいました!!ぜひご愛読おねがいします(≧∇≦) (2018年4月26日 22時) (
レス) id: aed4fff229 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 新しいのが出てる…！！！二人は小さい時から仲良しだったんですね(^^)最後は二人とも幸せになれて良かったです (2018年4月26日 19時) (レス) id: 4389491407 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フラミンゴ x他1人 | 作成日時：2018年4月25日 3時
