347話 ページ10
縁「まさか、仮初の同志が、こんな形で役に立つとはネ…小細工も色々と、弄してみるものだ。どうやら俺の人誅に、天もやっと味方する気になった様だ」
縁は黒メガネをかけ直し、余裕感のある笑みを剣心見せつける。
剣「待て、縁!」
縁「四・五分もあれば、全ては終わる。殺さない程度に遊んで、切り上げて来い」
剣「縁ィィィッ!!」
風が強くなり、風向きも悪くなる。
恵「風向きが悪くなってきたわ。急いで!煙に巻かれたら終わりよ!」
薫「待って!」
恵「もう!まだ何か!?」
薫「弥彦!弥彦を置いていけないわ」
『俺が必ず連れてくるから、早く____』
突然、突風が吹き、煙に巻かれてしまう。幸い、薫はAと近くであったが、恵の姿が見えなくなってしまった。
薫「恵さん?恵さん!」
ゆらりと煙の中から人影が見え、薫が声をかけようとすると、Aが静止する。
『……縁、お前はこれでいいのか?』
縁「構わないサ。人誅を下すため、あんたにはここで犠牲になってもらう」
Aが鯉口を切ると、縁は構わず近づく。
『…チッ、薫は早く逃げろ!』
薫「でも!!」
『いいから、早く!!!…誰から聞いた?と聞きたいが、
縁「そうか、ならば仕方ない」
Aは薫が逃げるだけの時間を稼ぐためにしようと抜刀しかけるが、直ぐに背後を取られる。
縁「手荒くなるが、我慢しろ」
『に、げろ、薫』
Aは縁に口を押さえられる直前、薫にそう言うが、薫は恐怖のあまり体が硬直してしまう。意識を失う寸前、Aは剣心に謝罪の念があったが、それは口にせず、意識を失ってしまう。
縁「諦めろ」
薫「い、や…いやァー!!」
薫は遠くなる縁とAに手をのばすも、届くはずはなく、その場に膝から崩れてしまう。その頃、剣心は未だ、鯨波に壁に押さえつけられ、身動きが取りづらい状況であった。
剣「ぐおおお!!」
鯨「バットウサイイイイ」
わずかに出来た隙間に剣心は手をかけ、鯨波の手を退かそうと試みる。
剣「おおおお」
鯨「バットウサイイッ」
鯨波が手を振り上げた瞬間、左之助が駆けつけ、一撃を喰らわす。
左「待て、コラァッ!!オラァ!!」
直後、斎藤が追い打ちをし、鯨波は地面に倒れ込み、剣心はようやく開放される。
斎「フン」
左「剣心、白髪野郎は______」
剣心は逆刃刀を持ち直すと、左之助の問いには答えず、行ってしまう。
左「!オイ」
鯨波は立ち上がり、斎藤の背後に立つ。
斎「成程…コイツも精神が肉体を凌駕したクチか」
鯨「バットウサイイイイッ!」
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
