344話 ページ7
未だ縁が、剣心の実力を目の当たりにしても尚、自分の勝ちを微塵も疑わない様子、志々雄以上の相手とは思いたくないけれど、剣心を前にした時の縁は志々雄とは違う何かがあり、それは雪代縁にあるのは姉の復讐をせんとする「罰」の意識に対し、剣心にあるのは巴を殺めてしまったという「罪」の意識。剣心はこの闘いの向こうに償う答を見つけ出すと言ったが、答が見つけ出してからではないとこの闘いには………という思いがAや薫達にはあった。縁はそっと目を閉じる。優しく微笑む巴が見え、薄く笑う。
縁「姉さん……姉さんが微笑ってくれる限り俺は誰よりも何よりも強くなれる。抜刀斎、貴様の中の姉さんは今、微笑っているカ?」
剣「今は微笑ってはいない…だが______この闘いが終われば必ず、微笑ってくれると信じている……いくぞ…」
剣心は飛天御剣流奥義・天翔龍閃をし、縁はそれに反応するように体を低く伏せる倭刀術絶技・虎伏絶刀勢は互いに避け、二撃目に勝負がかかる。
剣「おおおッ!!!」
縁「哈亜亜ッ!!!」
勝負は一瞬であった。ビチャッと血が地面に落ちると、剣心は左肩口から右脇腹にかけてバッサリと斬られた。
剣「がっ!?」
剣心は血を吐きながら地面に崩れる。しかし、縁も無傷ではなく、右脇腹からじんわりと出血していた。
縁「…あと刹那遅ければ、相討ち…思ったより、際どかったナ………感謝しますヨ、外印サン。やはり一度見たのが効きましたネ」
外「どういたしまして。こちらも少し溜飲が下がる心地だよ」
左之助は驚きと焦りを顕にして、声を荒げる。
左「なんで…なんで天翔龍閃より、やつの剣の方が速え!?なんで一撃目の後の真空がヤツには効かねェんだ!!」
斎「阿呆が。この上なく効いているからなんだよ…一旦、地に深く沈むあの攻撃体勢…あれならば、天翔龍閃一撃目に弾かれて生じる「空気の衝撃」にも、大地の反動を己の利として、攻撃体勢を維持したまま、十分に耐えることが可能_____そしてそのまま次に生じる「吸い込む真空」の力を交差法として利用すれば、まるまる一回転する二撃目より、軌跡半回転で済む。己の一撃を先に叩き込む事も可能…天翔る龍の牙も爪も、地に伏せる虎には届かなかった」
斎藤の解説に縁は感心しながら、刀を肩に置く。
縁「アンタ、流石だネ。あの刹那をちゃんと見極めるなんて。けれど、要は、そんな小難しいことじゃない。要は、やはり、姉さんは俺に微笑んでくれたというコトサ」
縁は斎藤達の居る方を見て薄く笑う。
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
