378話 ページ41
鯨「グ…ガァ!!」
「効…効いた!!」
「そうか…そうだよ!いくら連射可能でも、砲門は一つ…左右同時に攻撃が決して出来ない」
「ああ…それに一旦懐深くまで飛び込めば相手がでかい分、却って攻め易くなる!」
「あの少年…そこまで考えて__…」
「まさか…だが、あのガキは右と左の「右」…
それに警官らが気づいても、鯨波を真正面から向かう事に抵抗があった。
「よし、ここは、地の利を活かせ!」
「両端の建物の中を一気に突き抜ければ…」
「背後取ったり!!!」
残りの四人の警官が鯨波の背後を取り、弥彦、新市を含めて、三方向を囲う。
新「カッコ悪いけど「その意気や良し」かな」
弥「よし!いくぞ!!」
「え〜ん…」
三方向から特攻する寸前で、泣き声が聞こえる。呆気にとられていると、弥彦の後方からトボトボと泣きながら歩く年稚な少年がいた。
「おっ父う、どこォー」
「子供……!」
「逃げ遅れたか!」
鯨波は砲門をそちらに向ける。
鯨「バットウウ…」
弥「くっ!!」
鯨「サイイッ!!」
新「少年!」
弥彦はとっさに鯨波と少年の間に出る。直後に、弾は発射される。弥彦は少年を抱きかかえて空に舞い上がる。
新「少年ーーッ!!」
警官らが一斉に襲おうとするも、鯨波は両腕を広げて、警官らをなぎ倒す。
鯨「があああッ!!!バットウサイイーッ」
鯨波は空に舞っている弥彦に砲門を向け、連射する。
鯨「ガアアアッ!!!」
その頃、泣き崩れる燕は遠くから聞こえるその音に、危機感が強まっていく。
「うわっ、さっきに増して、今度のは凄ェ!」
「こりゃあ、居合わせたらとても助からねェぞ」
弥彦が死んでしまう。燕は増々、そう思うも、涙しか流せなかった。
鯨「グ…フフフフ。コレデ…邪魔者、全テ…消エタ…」
新「…少、年…」
鯨「ドコダ…バットウサイ…隠レテモ、無駄」
新「少年ーッ!!!」
弥「大丈夫だ!ケガは無ェェッ!!」
弥彦は瓦礫の中から血だらけになって這い上がるが、少年の方にはケガは見当たらなかった。
「ケ…ケガは」
「無ェって…」
新「いや…確かに…子供に、ケガは無い…なんて、奴だ…」
砲撃の中、自分の体を盾に子供を守った弥彦に、新市は驚きと興奮を覚える。鯨波はその様子に何かを感じ、手を出そうとはしなかった。
弥「坊主、走れるか?」
「え…」
弥「ちゃんと走れるか?」
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
