376話 ページ39
周囲にいた人々は混乱状態になり、弥彦はその状況にした新市を叱るが冷静であった。
弥「お前、名前は?」
新「え」
弥「名前!」
新「し、新市小三郎五等巡査」
弥「つまり、
新「え」
弥彦の発言に新市はあっけにとられている間にも、弥彦は動こうとする。
弥「グズグズするな。急げ、新市!」
新「お、おう!」
弥彦が街の入口に向かおうとすると、服の袖を誰かが掴まれる。後ろを振り向くと、不安気な顔をする燕であった。
弥「な、なんだよ…」
燕「だって…誰も…いないのよ…斎藤さんも、四乃森さんも、左之助さんも、Aさんも、剣心さんも…万が一、もしもの
弥彦はそっと燕の手を袖から離させる。
弥「そうだな…けど誰もいないからこそ、せめて、ここは俺一人だけでも、闘わねェとな」
燕「弥彦君!」
その目に迷いが無いことが燕には不安であった。必死に止めようとする燕に弥彦は諭す。
弥「悪い…けど、もう、決めた事なんだ。ひたすら前だけ見つめていこうと、そして、自分の瞳に映る弱い人や苦しんでいる人たちのために、剣を振るうと…大丈夫!心配するな。さっき言ったばかりだろ。「必ず生きて、みんな、また会える」!だから泣かねェで、大人しく待っていな」
燕「弥…」
弥彦がそう言って駆け出し、燕は手を伸ばそうと、声をかけようとする。しかし、その手と声は届かず、駆け抜けていく。燕の目からは自然と涙が溢れる。
その頃、街の入口には警官らが集まっていた。
「あの化物を喰い止めるだと!?」
「何考えてんだ。無理に決まってんだろ!」
「警察の武装では、とてもかなわないのは、署で闘って既に_____」
新「俺に言われても…」
警察達が開口一番に非難を浴びせ、新市は困惑する。
弥「無理じゃねェッ!!警察の狭い廊下では正面同士でせいぜい二三人しか闘えねェが、ここは広い!!それに両脇の建物の中をつっきれば、容易に横にも後ろにも回り込める!!地の利は確実に俺達にあるんだ!!」
弥彦の発言に新市を含めた警官達は騒然とする。
「何者だ?あのガキ」
新「さあ…けど…確かに、あの少年の言う通りだ……よ、よし!!
勢いづく新市を弥彦は上から目線で評価する。
弥「その意気や、良しッ!!」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
