341話 ページ4
縁「しかし上海は東洋の魔都。力無き者が生きるのはとても厳しく、一月も経たない間に少年は骨と皮だけの様相」
剣「喋るな。その話はもういいと言ったはず」
縁「まだ本気で闘ってナイだろ?なら軽く聞き流せばいい。どうせ、こっちも片手間のヒマ潰しだ」
風向きが変わり、縁と剣心の会話の内容がわずかながらに聞こえてくる。
左「オイ、またなんか喋ってるぜ」
『…アイツが……縁が上海に渡ってからの話だ…』
Aは顔をしかめ、爪をかみ始める。縁は話を構わず続ける。
空腹と疲労、病と飢え。少年はとうとう、倒れて動けなくなりました。とその時______
「オイ君、大丈夫か!?」
「日本人の少年がどうして…早く薬を」
その夫婦は日本人で、大陸の書物を研究しているとかで、上海に長期滞在している、一言で言うなら、上流の人間だった。
縁「____…」
「事情を話したくなければ、それでいい。何があったか知らないが、とにかく、今はゆっくり休みなさい」
「同じ日本人同士、安心して頂戴」
滋養たっぷりの食事と献身的な介護、少年は一命を取りとめた。
左「成程、その夫婦がいわば上海の保護者か」
恵「そうね。いくらなんでも、子供一人で上海は生きられないわ」
納得している雰囲気の中、Aだけは"違う、そうじゃない"と思っていた。話は続く。
少年はガラにもなく、その時、神仏に感謝した。
縁「馬鹿な獲物を授けてくれたコトを」
縁は夫婦を殺害し、有り金を奪う。
縁「これで当面の金に困るコトは無い」
恵「なんてコトを…」
左「性根から腐ってやがる!」
『………同じだ』
Aは誰にも聞こえないくらい小さな声でつぶやく。それが誰かの耳の届くことはなかった。
縁「さて、あと要るとしたら、強力な武器、強力な力______それが少年と倭刀術の出会い。独学なので、多分に我流交じりではあるが、手足の伸びきる頃には少年は誰にも負けない倭刀術の使い手のなっていた。さてココで問題。少年は盗むだけで済むはずのところ、何故わざわざ、一家皆殺しにしたのでショウ?」
剣「………もういい……」
縁「答え� �一家が反抗したカラ。答え�◆⊂�年はタダの殺人鬼。答え��、非情な人斬りに一番大切な姉を殺され、幸せを奪われた少年には、幸せいっぱいに暮らす一家が我慢ならなかった」
剣「もう今は喋るなッ、縁!」
剣心が体を半回転させると、縁は待っていたと言わんばかりの笑みを見せる。
縁「正解は、言うまでもなく答え��」
剣「飛天御剣流、龍巻閃!!」
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
