367話 ページ30
オイボレが指す彼とは剣心のことであると、弥彦はすぐにわかった。そして、落人群では住人達が鍋をつついていた。
「ふぁー、うんめェ!うんめェ!」
「月一のこの鍋が唯一の生きがいだぜ、全く」
「よう、新入り。あんたもどうだ?」
「そろそろ、固めの盃といかないか?」
住人達が声をかけても、剣心は答えず、だんまりであり、住人達は心配と呆れとが入り混じっていた。
「取りつくシマもねェな」
「あのお侍さん、ここに来てから何も喰ってねェんだろ。このままで大丈夫かねェ」
すると普段からオイボレのそばにいる小鳥達がやって来る。
「お、チチュン共か。オイボレなら今日は留守だぜ」
二羽はチチュンと鳴きながら剣心の方へと飛んでいく。それは珍しいことであった。
「珍しいな、オイ。チチュン共が、オイボレ以外にねェ…」
「死体と間違えてんじゃねェ」
「つうか、もう死体だったりして」
ガハハと笑う中、片目を塞いだ男だけは違った。
??「バカヤロウ。死体にたかるのは、カラスだろ」
「隈さん」
隈と呼ばれた男はしおれたタバコをくわえながら、娑婆の
日が暮れるとオイボレは道場をあとにする。
オ「随分と馳走になった。気が向いたら、また来るわな」
操「もう来んな!ダメ人間!!」
不機嫌な操に対して、弥彦はオイボレがいったい、何者なのかという疑問を感じる。
操「あー、もう。また蒼紫様、帰って来ないしィーーーッ!!」
弥「なんだ、お前、またグチかよ。結局、一日中、グチばっかじゃねェか」
同刻、とある墓場に外印は居た。土を掘り返し、桶の蓋に手をかける。
外「ククク…これでやっと、一安心。やはり、大切な物は一時たりとも手放すものではな______…!」
蓋を開けた瞬間、網が外印の方へ飛び出し、捕縛する。
蒼「やはり、取りに舞い戻ったな。あの二番目のデク人形の防腐処理の必要性から考えて、そう遠くないとニラんだ通り…言え。西田Aは何処だ」
蒼紫がそう言うと、ヒュウと音がし、蒼紫はとっさに下がる。すると、網は細かく切れ、右手からは細い糸が出ていた。
外「隠密御庭番衆御頭、四乃森蒼紫…貴様の仕業か…貴様、私の造形美の傑作を何処に隠した!!」
蒼「斬鋼線____…」
外「ホウ…流石は隠密御庭番衆御頭。博識だな。
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
