363話 ページ26
部屋にあるブラシの柄を引き抜き、とりあえず、脇差と着替えを取り返すためにも、縁のもとへ行くことを決める。
外「やっと、ここからおさらばか」
外印は少ない荷物を持って、浜に出ると、前に複数の人影が目に入る。
??「ハジメまして、ミスター外印。あなたのコトはボスから伺っていマス」
外「…成程。君がウワサに名高い組織のNo.2」
四人の大男の間に守られるようにいる男は自らを名乗る。
呉「
外「こちらこそ」
外印が握手を求めようと手を差し出すと、前二人の大男に止められる。
呉「失礼。気を悪くしないで下サイ。私はボズの様に武に長けていまセン。故に、このボディーガード「
外「縁なら高台の館にいる。東京へは私だけ向かう」
呉「そうデスカ。では、
外「君は?」
呉「私はココに残りマス。警察の動きがあわただしいので、用心して暫く、身を隠しマス」
そう言って屋敷の方へ向かう呉と「四神」と呼ばれた大男達の背中を外印は見つめながら、大胆な実力行使を主とする恐怖統制の縁に対して、慎重な作戦運営を主とする管理統制の黒星であり、そのウワサ通りの男だと思う。またこの二人の絶妙なバランス取りによって、わずか数年で組織をここまでのものにするに至ったが、裏を返せば、どちらか一人がバランスを崩す真似でもすれば_____と思うも、外印はそれ以上考えることをやめた。
外「……まあ、私にはもはや、どうでもいい話だがな」
外印はそのまま小舟の方へ向かう。呉はボスである縁のいるバルコニーへ出向く。
呉「久し振りだね、ボス」
縁「黒星か。いつ上海からこっちに来た?」
呉「つい先日。かねてから懸案の「東京進出」とボスの「私闘」がそろそろ終了すると報せが入ったんで。例の約束事、忘れてはいないかと、もう一度確認に来たよ」
縁「疑ぐり深い奴だな。らしいといえば、らしいが。忘れてねェよ。「俺の私闘の後方支援に組織の力をつぎ込む代わりに、組織の全てをお前にくれてやる」。もともと俺が欲したのは、人誅を可能に出来る兵力と財力で、その二つを兼ね備えるのがたまたま「武器組織」だっただけ。用が済めば、それ自体には何の未練も、興味もない」
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
