354話 ページ17
弥彦はそう伝えると、スクッと立ち上がる。
弥「もう、ここには来ない。神谷道場で待ってるぜ」
返事をしない剣心にそう言って、弥彦はその場を立ち去った。入れ違いにオイボレは剣心の側に寄ると十字傷を見て驚いた顔をする。しかし、何かを言うわけではなく、近くに腰を下ろす。
オ「あれは、なかなか。
その帰り道、操は先程の剣心の様子を不服そうにしていた。
操「何よ、あれ、カッコ悪い!超ーーーカッコ悪い!!」
弥「超って言うな、超って」
操「あんなの絶対、緋村じゃない。あんな緋村…見たくなかったよ」
すると、道場の方から、恵の怒鳴り声が聞こえた。
恵「ちょっとッ!!あんた一体、何考えてんの!?自分で何言ったかわかってる?」
弥「恵!」
操「何なに?いったい、どーしたの」
恵はあからさまに怒っている様子であった。すると、道場の奥の方から寝間着姿の薫が顔をのぞかせており、手にはAの愛刀であった、脇差を持っていた。
薫「……恵さん…?どうしたの?」
恵「…!とにかく、聞いて!コイツったら、言うに事欠いて_____」
操は恵が蒼紫をこいつ呼ばわりされたことが気に食わず、恵と言い争いを始める。
蒼「お前も手伝え」
弥「だから、いったい、何だよ」
蒼「今夜、西田Aの墓を暴く____」
弥「Aの墓を暴くッ!?何考えてるんだ、てめェ!いったい、どういうつもりだ!」
薫「A姉の墓を…」
精神的に不安定であり、さらに栄養の足りていない状態である薫は脇差を支えにしながらも、その場に座り込んでしまう。もちろん、他の面々も、その発言には了承できなかった。
蒼「何も、どうもない。西田Aの死体を確認するには、それが一番、確実な方法だからだ」
弥「確認って、てめェ…」
冷静さを失っている弥彦に、蒼紫は冷静に言葉を続ける。
蒼「聞け。お前も西田Aが死に至るまでの顛末は直接は見ておらず、後で人から聞いたクチだ。その時、お前、何か違和感を感じなかったか?」
弥彦はその言葉で何かに気がつく。蒼紫は続ける。
蒼「赤べこ砲撃に始まり、執拗且つ陰湿に繰り広げられた一連の人誅事件………西田A殺害は、その最大にして最後」
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
