339話 ページ2
『狼狽えたところで、相手の手の内はわからない。まあ、心配なのはわかるけど、ここは闘いの場だ。だから、叩き潰すのみ、って言いたいんだろ?斎藤。顔に出てる』
斎「チッ」
左「………でも、そうだな。ヤツが志々雄以上でない限り、剣心は絶対、負けやしねェ」
左之助はあの場に居たためか、落ち着いていたが、薫は心配そうに剣心を見つめる。縁は太刀を軽々と右手のみで風を切りながら弄び、肩に担ぐ。
縁「さあて、始めようカ」
剣「黒メガネ、外した方がいいぞ。目に危ない」
その言葉に縁は嘲笑する。
縁「心配無用。貴様には、一撃たりとも入れさせはせんヨ。いくぞ!!」
縁の合図によって闘いの火蓋が切られる。縁が太刀を大きく振りかぶると、剣心は飛んで避け、両者の一撃目は互いに抑える形となる。
剣「おおおおッ!!」
縁「
一撃一撃の衝撃波はAや薫達の方へも届いていた。一方的な斬撃を繰り返す縁と、それを避け、一切攻撃に転じない剣心。相対する闘い方をする二人をAは厳しい目つきで観察する。
恵「…結構、やるわね…」
薫「うん…自分の筋力と太刀の重量とをしっかり把握していて、速さと威力をギリギリの線で見事に兼ね備えている。剣気でも、今のところ、剣心に引けをとってないし、あの人、十分一流だわ」
左「一流がどーした。剣心が超一流だってのは、今更言うまでもねェ。あの程度じゃ、志々雄にも遠く及ばねェ」
斎「その点は同感だ。資質も有る。鍛錬も積んでいる。ただそれだけだ」
薫「でも、あれで大陸に渡らず、しっかり「剣術」を習っていれば_______」
しかし、Aと斎藤には、それ以外の点で不安要素があった。
縁「微温いナ。まずは、小手調べというつもりか。そろそろ、自慢の飛天の剣を見せてみろ。それとも、先にこちらの技を見せないと駄目か?ならば、まずは一つ。「倭刀術」蹴撃刀勢!!」
縁はそう言うと太刀を下から斬り上げたかと思うと、更に峰を蹴り上げる。その動きは普段の闘いでは見られないものであり、一同あ然とする。
『斬撃に加え、蹴りで衝撃を倍にしたか…思った以上に厄介になりそうだな』
左「ヤツめ…ちゃんと「剣術」を会得してやがる…」
薫「けど「倭刀術」なんて、そんな剣術、聞いたコトもない…」
縁「これが俺が十年で得た力…大陸で零から這い上がり、頂点に昇りつめた力…古より日本に伝わった太刀を以て、大陸で完成された新剣術…「倭刀術」」
Aは一つの違和感を覚える。
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
