もう一人の人斬り玖 (ページ32)

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418話ページ32

操「な、なんなの、コイツ!四人コンパチの量産ヅラのくせして、蒼紫様と互角に剣を交えるなんて!」
剣「いや「互角」ではござらん」
操「そうよね!蒼紫様があんなのと互角のハズないもんね!流石は緋村、よくわかっている!」
剣心は返事もせずに真顔で蒼紫の戦いを見ていた。
操「どーして、そこで真顔で黙る、コラァ!」
恵「あ!あれ‼︎」
操「逆手二刀!あの構えは_____」
回転剣舞六連で決まると操は思っていたが、蒼紫と朱雀は全く同じ様に動き、同じ様な箇所に傷ができ、その衝撃が砂浜にも鮮明に浮かぶ。
朱「どうやら、今のが奥義らしいが、それを模されても表情一つ変えぬとは。ヌシはしかと理解できていると見た____初見(・・)のヌシの技を、そのままヌシと互角に撃ち返す…それ即ち、実は我の技の方がわずかに速いという証拠に他ならぬ!我とヌシは互角ではなく、紙一重で我の方が上‼︎全ての武芸は、始祖の模倣の繰り返しによって完成し今に至る。つまりそれは始祖よりも模倣の方が優れているという事実の証。そして、その模倣を完璧以上にこなす我の前に敵は無い‼︎ヌシの剣は全て見極めた。果たしてついてこれるかな。撥ッ‼︎」
意気揚々と喋る朱雀に、蒼紫は顔色を変えることはないが、操は不安そうにオロオロする。
操「どーしよー、緋村!____って、まだ黙ってる!なんか答えろ!あんた黙ってると、すごく不安‼︎」
剣「ヤレヤレ、じゃあ一言」
操「よし、何?」
剣「「蒼紫を信じろ」。それで十分でござる」
直後、蒼紫の二刀小太刀は空へと舞い上がり、少し離れた後方で砂浜に刺さる。
朱「勝負あったな!これだ…このとどめの瞬間………自分の技で殺される、その千差万別の表情が面白いコトこの上無し。これだから「闘い」はやめられぬ。さて、ヌシはどのように表情(カオ)を歪ませてくれるか___な゛?!?」
突如、朱雀の顔面に蹴りが入れられ、朱雀が顔を歪める。
朱「け…拳法…‼︎」
蒼「お前の模倣の技巧は感心したが、その技巧一つで勝てる程、御庭番三百年の武芸は脆弱ではない。模倣を極めても、所詮は模倣。新たな技を創るなり、複数の武芸を重ねるなりして編み出された独自性の力を前にすれば、た易く地金を晒すもの…」
朱「ぬかせ‼︎今のは不意を突かれた単なる油断。このヌシの剣にヌシの拳では太刀打ち出来るはずがなどない!」
朱雀が剣を振り下ろすも蒼紫はそれを素手で受け止め、朱雀の顔は更に強張る。
蒼「自分の剣ゆえ、太刀筋は百も承知。喝‼︎」