もう一人の人斬り玖 (ページ4)

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391話ページ4

伍「ちょっと待て、忘れたのか。そりゃねぇだろ!」
喜「ホラ、手を組んで抜刀斎と闘(や)った____…」
左「ああ。そういや、そんなのがいたな、確か四年半前」
喜・伍「半年だろ、オイ!」
呆れる比留間に左之助は、一旦は機嫌が治ったような素振りをする。
左「東京追われて、今は田舎ヤクザの用心棒かよ。いいじゃねェか。収まるところに収まったっつー感じで」
喜「ぐぬぬ…」
伍「ど…どうする、兄貴」
喜「落ちつけ。あわてることはない。奴をよく見てみろ!」
伍「成程、斬馬刀を持ってねェ。ならば!!おおお、いくぞ、斬左!!鼻の傷の恨み、今こそ晴らしてくれよう!!!」
伍兵衛が仕込み杖を抜くと、左之助はコテンパに比留間兄弟を叩く。その間、少女はとっさに耳をふさぎ、目をギュッと瞑る。"自分をめぐってまた争いが起きてる"という勘違い、"自分が可愛いからって"という自惚れと今日の夕飯について考えてしまうほどの混乱と現実逃避をすること約一秒。音が静かになり、そぉーと目を開けると、比留間兄弟が顔を腫らして倒れていた。
左「ったく、つまらねぇ。手間取らせんじゃねぇぞ」
不「フウン…華奢な体で中々やるじゃないか」
左「誰が華奢だ。このＭッパゲ」
確かに不動沢の頭部はそのように禿げており、少女は思わず笑ってしまう。
不「フっ…気に入ったぜ、若いの。場を改めて、また会おう」
「不動沢さん?」
不動沢はそう言ってチンピラを連れてどこかへ行ってしまう。それに相反して、見ていた人々は歓声をあげる。
??「すっごぉい!!すごいすごいすごいすごいすごいすごい、強い強い強い!おニイさんすごい強い!ねェおニイさん誰?何時来たの?何処から来たの?何しに来たの?彼女いる?いない?」
少女が質問攻めをしていると、物陰から少女より年稚な少年が出てくる。
??「央太!そこに隠れてたの。よかった、無事で!もう大丈夫だから、出ておいで。あ、ごめん。自己紹介、まだだったね。このコは私の弟で央太。私は右___…」
少女が名乗る前に左之助は央太と呼ばれた弱気な様子の少年を蹴り飛ばす。
右「なななな何するの、いきなり!」
左「なんでてめェは自分の姉ちゃんが危ねェってのに、一人でかくれんぼか、ああ」
右「当然でしょ!央太まだ、小さいんだから!危ない時はいつも、隠れる様言ってるの!!」
怒り心頭の少女は央太かばいながら左之助に反論したものの、左之助はそれに反論する。