もう一人の人斬り玖 (ページ18)

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405話ページ18

左「こいつは、あんたの相手じゃねェ…十年前から、俺の相手…「悪一文字」を背負う、俺の相手だ!!」
進行を進めていた不動沢一家は村の近くまで来ていた。
不「よおし、野郎共。村までもうすぐだッ。徹底的に暴れ尽くしてやれェ!!まずは、上下ェ門のヤロウをギッタギタに___ン?」
不動沢の目の前には一人の人影が見えた。
左「よう」
不「……何の用だ、喧嘩屋。今更、ワビならもう遅ェぞ」
左「違えよ。おととい買った喧嘩。今し方、済ませて来た。東谷の頑固親父なら、この道のずっと先で倒れている。だがよ、なんてコトねェ。拳一発でのして、ハイ終わりときた。話が違うぜ。どうしてくれる?これじゃあ、ウサ晴らしになりゃしねェ」
「ああ⁉︎なんだと、てめぇ‼︎」
左之助は不敵な笑みを浮かべ、舎弟達はヤジを飛ばすが、不動沢は静止する。
不「待て!そいつは悪かったな。そうかい、そうかい。それじゃあ、ここは一つ、儂が相手をしてやろう‼︎」
挑発するように不動沢は岩に手形を残した。
「出た!親分の十八番!」
「「鬼倒し」!何人もの力士の顔面を潰した必殺の張り手‼︎」
不「今夜の景気づけに、喧嘩屋。まず、貴様から血祭だ」
左「なんだ。てめぇ、力士くずれか。道理でデブなわけだ」
不「ほざけッ!くらえ、必殺、鬼倒し‼︎フッ」
ドパァァァンという音と舎弟達の歓声が上がるが、左之助の顔はほぼ無傷であった。
左「ああ?なんだこりゃあ。てめェ、こんなので必殺なんかイキがってたのかよ」
不「何ィ」
左「鬼倒しだあ?効くかよ、そんなの。こちとら、その鬼を軽々踏み砕く、明王様の化身と互角に闘った身だ____ぜ‼︎」
不「ぐえ゛ッ‼︎!」
左之助が不動沢の右胸部の下の方を殴ると出血を軽くしていた。
不「くっ」
左「鬼倒しの次は鬼ゴッコかよ。それともかくれんぼのつもりか、オイ…そういや、思い出した…明王譲りのこの技は、瞬時に衝撃を連ねるコトで、物体の抵抗を無にして粉砕する技____つうコトは」
不「え゛…が…」
不動沢は二重の極みの衝撃によって、意識を失っていた。
左「成程…本家よりは劣るけど、即興の割には上等か…両手つかうから、前みてーに乱発はできねェが無いよりすずっといいか」
左之助は自己分析をしている一方で、舎弟達はその威力にざわつく。
「なんだ、今のは?」
「大岩が粉々に…」
「親分!」
左「まだまだ、合計三発…ウサ晴らしには到底及ばねェな…」
左之助はそう言って、舎弟達を見てかかってこいと言わんばかりに挑発する。