もう一人の人斬り (ページ9)

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9話ページ9

弥「うるせぇよ、隼人。頭に響くんだよ」
『あっ、悪い。剣心なら台所にいるぞ』
弥「おう」
弥彦は軽く返事をして、台所の方へ向かって行った。すると、左之助は思い出したような口ぶりで隼人に話しかける。
左「そういえばよ、恵の奴と何話したんだ?」
『大した話じゃないさ。お互いの近況報告、って言っても最後にあったの十五年以上前だからな。今までのあった事を話したまで』
左「親戚だったのかよ…」
『そうだけど、そんなに驚くか?』
左之助は驚かない奴がいないと言いたげであったが言わず、率直な感想だけを伝える。
左「意外だったからな」
『親戚に間違いは無いんだが、俺と恵に直接的な血の繋がりは無いんだ。親戚の親戚だからな』
左「そうなのか」
隼人は嬉しそうに顔を緩める。左之助はやっぱり女なんじゃないかと頭に過ぎったのであった。厨の方では剣心が昼餉の準備をして暫くすると、弥彦が不機嫌そうな顔をして台所へ顔を見せる。
弥「隼人の奴、うるせぇんだよ。昔からあんな感じなのかよ、剣心」
剣「そうでござるな。変わってないでござるよ」
弥「あれが本当に剣心と肩を並べるほど強かったって想像できないな」
剣「そうでもないでござるよ。まだ、刀を捨てて無いのが良い証拠でござるし、それに…」
弥「それに、何なんだよ?」
剣「いや、何でもないでござるよ。お粥ができたでござる」
弥彦は、はぐらかされて不服そうであったが、続きは口が裂けても言えないからなと思っていると、左之助とAが一緒に台所に来る。何故か左之助のAに対する目線が変わっているのに気が付き、女だと勘付いたか…そろそろ潮時かと思うのであった。一方の隼人も気付いてはいたが、気にせず、薫が確か妙さんだったかな?と出かけるって剣心が言っており、男だけで食事は華が無いな…と思っていた。
剣「隼人と左之、お昼にするでござるよ」
左「今日は魚か!いただきます!」
剣「良いのが入ったとご主人が言っていたでござるよ」
『そうなのか。いただきます』
剣「隼人、食べ終わったら拙者の部屋に来てくれないか?」
『わかった』
絶対なんか言われる。Aは剣心がさっきからそんな素振り見せないけど、絶対怒ってる…何より笑顔が怖いと思い、腹を括るしか無いか…と少し諦め、それは剣心も気づいていた。

左「ごちそうさん。うまかったぜ」
そう言って、左之助は厨を出て行った。