もう一人の人斬り (ページ48)

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48話ページ48

一週間後、新橋駅(ステイション)にて。由座衛門と由太郎を見送りに来た剣心一行は由座衛門から感謝の言葉を言われた。
由父「本当に色々とありがとうございました。ほら、由太郎。最後のごあいさつをしなさい」
由太郎は由座衛門に促されるも俯いたままで何も言わなかった。薫や剣心、左之助は言葉をかけることができず、Aは何故か弥彦の事を見ていた。すると執事が由座衛門に時間が迫っていると伝えるとそのまま列車の乗り場に向かう由太郎に弥彦は大声で由太郎の名前を呼び、攻撃を仕掛けた。
弥「由太郎!!」
『弥彦～。喧嘩してもいいけど、由太郎は怪我人なんだから手加減しろよ』
薫「弥彦!?Aさんも止めないで良いの?」
『まあ、見てなって』
弥彦の攻撃を杖で受け止めると、弥彦は由太郎に向かって怒鳴り散らし始めた。
弥「てめえ、このまま…いじけたままで終わっちまう気かよ!!!雷十太に裏切られたのがそんなに辛えんだったら、雷十太より強くなってフッ切っちまえばいーだろうが!!雷十太っても、本物(カス)の雷十太なんかじゃねェ。てめえが夢に描いた理想(ホンモノ)の雷十太よりだ!!出来ねえって言うなら、てめえは一生ただの負け犬だ!!」
由太郎はハッとした顔をする。
由「...っの野郎。黙って聞いてれば好き放題言いやがって。誰が負け犬だと⁉」
由左衛門は顔を青ざめた様子で由太郎を静止しようとする。
由父「由太郎!」
由「俺は絶対に剣術はやめねェ、やめてたまるか‼右手がだめでも左手一本でやってやる。大体、てめえなんざもともと左手一本で十分なんだ!」
弥「生言うんじゃねーよ、この猫目のいじけ虫が!」
由「うるせェ、このヒネクレチビ!」
A以外は2人の様子を見てポカンとしていた。そして、安心した様子で見る。
薫「...そうか」
左「そうだな」
剣「成程、心配無用でござるな」

ボロボロになった弥彦と由太郎に処置をし、改めて見送りをすると、弥彦は由太郎に向かって
弥「いいか、忘れるな。必ず帰ってこいよ」
薫「神谷活心流二番門下生の席、空けて待ってるからね」
直後列車は発車した。車内では由左衛門が窓の外を見ている由太郎に声をかけた。
由父「いい人達だったな」
由「あのヤロウ、こっちはケガ人だってのに手加減もしねェでうち込みやがって。明神弥彦、帰って来たら真っ先にブッ倒してやる」
由太郎は言葉とは裏腹に朗らかな顔をしていた。