35話 ページ35
由「……しょーがねえだろ。先生は今、真古流を興そうと忙しいんだ。真古流は日本剣術のために大事だって先生が言ってるんだから、俺がわがまま言って邪魔する訳にもいかねーよ」
薫「仕方ないわね、いいわ。せっかく来たんだから今日は私が教えてあげる」
由「え?」
こうして、薫は由太郎に一対一で指導を始めた。
薫「いい?まずは竹刀の持ち方。左手の小指をね、こうして柄尻に半分引っ掛ける様にして___」
弥「何赤くなってんだよ、このエロガキ」
由「う…うるせー!」
薫「弥彦、チャチャ入れないの!シメるわよ!」
弥「ふん!」
『まぁまぁ。弥彦、この前の約束でもやるか?』
弥彦は気に食わない顔から一変して、嬉しそうな顔をした。Aは、由太郎と薫から少し離れた位置で、約束通り弥彦に稽古をつけることにした。
『弥彦、実戦経験はあるか?』
弥「指折り程度だけど、ある」
『そうか。なら、話が早い。俺は弥彦の実力を知らない。そこでだ、俺は今から一切攻撃はしないから、好きなところからかかってこい』
弥彦は嬉しそうに、おうと言って竹刀を構える。
弥「いくぜ!A!」
そう言って、Aに向かって攻撃を始めた。攻撃をかわしたり、受けたりしながら弥彦の実力を見極める。はっきりに言うと、弥彦にはまだまだ伸びしろがあり、まだまだ強くなれる。剣筋がとてもキレイだった。心の底から剣術が好きなのが伝わる。
『弥彦、そこまでだ』
弥「俺って、どうなんだ?剣心とか左之助の足手まといには…『なってない。もっと自信を持っていい。それに伸びしろがある。まだまだ強くなれるぞ!そのうち、抜かされるかもな〜』
Aが最後に言った言葉に対して、弥彦は何を言ってるんだ?と言う顔でAに聞く。
弥「何言ってるんだよ?剣心と同じ位、強いんだろ?何で抜かされるかもなとか言うんだよ?」
『俺はあくまでも女だから、力では男に勝てない。勿論、剣心も含めてだ。だけど、弥彦は男の子だし、まだまだ大きくも強くもなる。だから、必然的に抜かされる可能性が高いんだ』
弥彦はまだ納得のいかない顔をする。
弥「でもよ、俺のさっきまでの攻撃、全部受けたり出来てたじゃねえかよ」
『そうだな。今は出来るんだよ。でも、この先はわからない。突然、俺が何らかの原因で剣術をする事が一切できなくなるかもしれない。まぁ何の道、体力的に限界がきちゃうからな』
弥彦はようやく大まかではあるが、自分なりに納得した様に頷く。
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作者名：つっさん | 作成日時：2019年10月1日 9時
