33話 ページ33
石「無論。だが、剣術とはもともと殺人のための技術。今の主流たる竹刀剣術などまがい物である」
『そうか、なら交渉決裂だな。だろ?剣心』
剣「ああ、拙者は自らに殺人剣を禁じていると前に言ったはずでござる」
そう言って剣心は振り返る。Aはただ雷十太のことを見つめていた。雷十太はAから目線を外し、剣心に言う。
石「緋村、貴様は日本剣術がこのまま滅んでもなんとも思わぬのか?」
剣「………そんなコトはござらん。拙者とて剣客のはしぐれ。剣術の未来を憂う気持ちはある。だが、それが殺人剣のはびこる未来ならばこっちから願い下げだ」
『まぁ、殺人という剣術の本質は否定できないが、活人剣を潰すのはお門違いだし、俺と剣心が阻止すると言う事を肝に銘じておくんだな』
Aがそう真顔で言うと雷十太は自分の刀に手をかける。
石「……そうか。成程、所詮剣客とは頑固で無器用な生き物。やはり、剣と剣でしかわかり合えぬものか」
雷十太はそう言って抜刀した。するとAが袋から愛刀を出しながら、ため息をつく。Aにとっては、久々に真剣を使うから手加減が出来るか?と思いながらも腰に携えた。風がAと雷十太の間を抜けると雷十太は刀を大きく振りかぶり、同時にAは抜刀した。お互い相討ちとなったが、由左衛門が感歎を漏らしたことで、それ以上お互いに攻撃はしなかった。薫はそうなったことに安堵する。
由父「あ…私は気にせず続けて下さい。お茶はここに置いておきますから」
石「邪魔が入ったな。勝負は一時預けよう。だが、忘れるな。吾輩に力を貸すか、吾輩に殺されるか。思えに道は二つに一つだ」
雷十太はそう言って納刀した。Aは雷十太目線で追ってから目を細める。
『自惚れるんじゃねぇよ、三下が』
石「フ…」
一段落付くと薫は何かを忘れている気がしていた。
左「とりあえず、この場は一段落ついたな」
薫「でも、何か忘れてる様な…」
弥「おお、何か」
左・弥・薫「あ!」
由太郎の元へ戻ると左之助がサラシを外す。
由「ぷは!てめえらぜーって許さねェぞ!!」
左「あー、わかったわかった。悪かったからそー怒んな、ボウズ」
左之助はあからさまに反省していない様子で由太郎の頭をポンポンすると
由「ポンポン叩くな!!いーか、必ず俺の必殺技のサビにして______!!」
薫の元へ剣心とAで合流すると俺たちのいない間あった事を聞かされる。
剣「猿ぐつわにして木に縛りつけた?」
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作者名：つっさん | 作成日時：2019年10月1日 9時
