もう一人の人斬り (ページ31)

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31話ページ31

左「決闘状の間違いじゃねーのか?」
『いや、だったら今頃攻め込んできてる』
??「さあ、私はただの執事ですので…とにかく表に馬車を用意してあります。さあ、どうぞ」
そう言われ、私、A、剣心、弥彦、左之助は馬車に乗り込んだ。Aは外出時に普段は持ち歩かな愛刀を持った。言うまでもなく嫌な予感がしたためであった。剣心も持っている物について、気がついていた。
「どうぞ、こちらです。私は馬車をおさめますのでここで…庭をつきぬけると母屋にたどりつきますから」
そう言ってその場を後にした。立派な佇まいに思わず左之助は言う。
左「おい、ひょっとして雷十太ってのは成金みたいな奴かい」
薫「全然!小蝿が飛んでそうなむさい男よ。たしか…」
すると、一人の男性がこちらに近づいてくる。
??「緋村さんと西田さんですね。よくいらして下さいました」
左「あれが雷十太か?」
薫「いえ、違うわ」
由父「初めまして。私はこの家の主で、塚山由左衛門と申します」
弥彦は名字を聞いて、気がつく。
弥「塚山…ひょっとしてあのくそガキの親父…!」
由「くそガキたぁ、なんだてめえ!」
剣「おろ」
『おお』
由太郎が弥彦の後頭部を蹴ってくるのだ。
由「雷十太先生が呼んだのは緋村と西田だけだぞ!!なんでてめーが!」
由父「やめんか、由太郎!先生の客人のお連れだ。無礼は許さんぞ」
由「フン!」
由父「申し訳ありません。息子が大そうな無礼をして」
剣「いやいや」
そう言って剣心は弥彦を、由左衛門は由太郎を宥めるが、弥彦と由太郎は睨み合っていた。
由父「先生は池のほとりにいらっしゃいます。私が御案内します。さ、こちらへ。由太郎、お前はお連れの方々をおもてなししなさい」
由「仕方ねぇ、ついて来な。カスづけと二番茶ぐらいは馳走してやるぜ」
すると、左之助が手首の晒を外す。
左「ホウ…そりゃ結構なもてなしだねぇ。けど悪いが俺たちゃ遠慮させてもらうぜ」
由「え?」
3人は茂みの中から様子を見ていた。
左「ふーん、あれが雷十太か」
薫「どーでもいいけどさ、あのコにあんなコトして大丈夫?」
弥「かまわねーよ、あんな奴」
由太郎は左之助の左手のサラシを猿轡にされていた。

由父「私は刀剣の輸出を中心としてる貿易商をやっていましてね。御存知かと思いますが日本の刀剣は芸術品として欧羅巴(ヨーロッパ)では高い値がつくのです」
Aが由左衛門殿の言葉を続ける。