4話 ページ4
明るく取り繕う薫は隼人を屋敷内の空き部屋に通した。一人で使うには十分な広さの四畳間に案内されたのだが、隣は剣心が使っていると薫から言われ、薫がいなくなると、隼人はため息をつく。先程、自分が"彼岸花"だとあっさりとバレてしまったと言う事もあり、剣心がどのくらいの事を他の人に教えているのか、わからなかった。考えてたところで答えがわかるはずもなく、荷解きをし、愛刀の脇差の手入れを長らくできていなかったため、簡単に済ませられる事のみではあるが、時間をかけてやる。
『とりあえず、こんなもんか』
日は傾き始め、する事がなくなった隼人は手伝いがないか聞きに行こうと部屋を出ると、道場のほうが騒がしかった。嫌な汗が頬を伝う。平静を装いながら道場に着くと宴会の準備をしているだけであった。隼人が来たことに薫が気がつくと、剣心に声をかける。
薫「剣心、隼人が来たわ」
剣「ありがとう、薫殿。隼人、準備ができたから始めるぞ」
『…道理でにぎやかなわけだ。警戒した俺が馬鹿みたい……もう、あの頃じゃないのに』
隼人は剣心以外がギリギリ聞こえる程度の小さな声でつぶやき、笑顔を取り繕うとする。
剣「どうした?一緒に食べよう」
『…悪い。そうだな』
剣心は隼人が言った事が聞こえていたが、あえて触れず、優しく誘う。隼人はそれがわかっていたからこそ、心苦しかった。そう互いに想いながらも、宴会は始まる。
夜がふける頃、弥彦は早々に出来上がり、そのまま眠りにつき、薫も出来上がってしまい、隼人にべったりであった。
薫「ほぉんと、隼人は女の人みたいにきれぇねぇ〜」
『そうか。でも、流石に飲みすぎだ。これは没収…って、寝ちゃった。剣心、すまん、少し席を外す』
隼人は薫を抱きかかえ、道場を出て、薫を部屋へと送る。しかし、一向に帰ってこない隼人を剣心は不審に思い、辿ったであろう廊下を歩いていると、フラフラと歩く隼人がいた。
剣「ここに居たか。大丈夫か?また酔いが回ったか?」
『うん…』
剣「部屋まで戻れるか?」
『らいじょうぶ…』
立っているだけでやっとの状態のAは剣心に支えられながら、部屋に送られる。剣心はAの部屋の布団を敷き、Aを呼ぶと既に規則正しい寝息を立てていた。
剣「無防備過ぎるんだよ…Aは」
着替えさせるとAが色々と言ってくるのも癪に障るため諦め、布団に寝かせる。顔にかかった髪の毛を軽く手で払うと、Aは剣心の手の方へ顔を近づけ、こすりつける。
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作者名：つっさん | 作成日時：2019年10月1日 9時
