もう一人の人斬り (ページ26)

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26話ページ26

声を出し、門下生たちは魅入る。
門下生「す…すげぇ気合だ!」
前「来い。話になるかならんか教えてやろう!」
前川先生は雷十太にそう言いながら睨みつける。
石「……教えてくれずとも既にわかっておる。竹刀で三本勝負という時点で、もはや貴様など「話にならん」のだ!!」
剣心とAはは雷十太の前川さんに対する殺気を感じる。
『前川さん!危ない!』
剣「いかん!逃げろ!前川ど___」
剣心が言い終わる前に雷十太は片手で前川先生の右肩に一撃を入れた。よろめく前川先生にすかさず面を入れた。Aはまずいな…思うながら、薫を見ると、踏み込みが全く見えなかった…あの巨体でなんて速さ…と呆気にとられていた。
石「おい、今のは無効か」
薫「め…面あり。一本!」
その様子を見ていた弥彦は思わず感嘆を漏らす。
弥「すげえ…外れはしたがあの最初の打ち降ろし、とんでもねえ重さだ」
由「ヘッ。あれは外れたんじゃねえよ。脳天の一撃、つまり「面」は頭がい骨の丸みで刃が滑ってしまうことがたまにある。だから打ち降ろしで仕留めるなら必ず肩口を狙う。古流剣術の定石だ。本来ならあのじーさん、今ので確実にあの世行きだぜ」
由太郎は誇らしげに弥彦に教える。
薫「いけない、肩の骨にヒビが入ってる!早く医者に」
前「待て!まだ勝負はついておらん。剣客としてこのまま退く訳にはいかぬ。に…二本目だ!」
そう言うと、剣心とAを見て、伝える。
前「緋村君、西田君。止めんでくれよ」
前川はそう言うが、剣心とAは不安が隠せない様子だった。Aはこれ以上続けると死んでしまう。しかし、止められた以上手出しはできない為、見守る事しかできない。薫は前川に促され、そのまま試合を始めてしまう。
薫「二本目!!」
前「まだ、勝負はついておらんだと」
そう言ってはいるが、前川は肩で呼吸をしている。
石「笑止!最初の一撃で貴様など既に死んでおる!!」
雷十太は前川の脳天に一撃を入れた。
薫「一本!勝負あり、そこまで!」
薫が合図を入れるが、雷十太は聞きもせずに前川の胸ぐらをつかみ、思わず止めようとする。
薫「待ちなさい!何を!」
石「己の敗北も見えぬ愚物が!」
直後、Aは借りていた竹刀ではなく、壁にかかっていた木刀を手にし、雷十太の喉元に刃を向ける。その目には一切光が無く、冷たかった。薫はその姿に、嗚呼これが"彼岸花"と言われた頃の彼女なんだ…と思っていると、Aは何時もより低い声で静かに言葉にする。