24話 ページ24
剣「怖がり過ぎ…か」
剣心は確かにAの言っていることに間違いは無いと思う反面、人斬りに戻る事を恐れるが故に出来なかった。頭ではわかっていても、それを実行するには苦難を伴う。だからなのかもしれないとやや悲観的に考えてしまう。その後、Aは道着と袴を借りて着替え、道場の竹刀を借り、軽く素振りをしてから、教え始めた。教えるのは基本中の基本。構え方、素振りでの身体の動かし方、意識の仕方等。筋のあるの門下生が多いから教えがいがあり、一通り教え終わるとAは門下生たちに言う。
『じゃあ、やってみようか。習うより慣れろって言うからな。一通り教えられることは教えたから、後は努力次第だな。それでは、始め!!』
Aと元々教えていた何人かで素振りの様子を見ながら指摘をしていった。まだまだ伸び代があり、指導をしていると熱が入っていくのが自分でもわかった。それぞれに、肘が曲がっているとか、力み過ぎだ等と言っていく。それに応じようと努力する姿を見ると時代の変化を感じずにはいられなかった。嗚呼、一応平和にはなったんだな…としみじみ思う。剣心がその様子を見ていると、前川が隣にやって来る。
前「西田君と言ったかな、彼は。君と同様、奥の深い目をしている。しかし…この先、剣術はどうなってしまうのだろうかのう。明治維新と文明開化で一気に廃れてしまい、西南戦争や撃剣興行で少しは息を吹き返したものの…確実に弱体と消滅の道をつき進んでいる。毎日の様に【道場破り】が現れて、うざったかった昔の様____」
Aと剣心は誰かの来る気配を感じる。直後、道場の前に一人の男が立っていた。編笠を深く被り、様子は伺えない。Aは暫く様子見と目配せし、剣心もそれに応じる。男はワラジを脱がずに道場に上がり、門下生の一人が止めようとする。
門下生7「こ…こら、神聖な道場に土足であがるな!ワラジを脱がんか」
男はその言葉を無視し、前川と剣心の前に立つ。
男「中越流開祖、前川宮内と見受けた。一つ手合わせを願おう」
男は被っていた編笠を外し名乗る。
石「吾輩は石動雷十太!!日本剣術の行く末を真に憂う者である。手合わせ願おう!」
石動は前川を見下して、そう続ける。
門下生7「か…帰れ!当道場は今、他流試合は___」
前「待て!雷十太と言ったな。よかろう、相手してやる。通例に習って勝負は三本勝負。先に二本取った方が勝ちとする。よろしいな」
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作者名：つっさん | 作成日時：2019年10月1日 9時
