20話 ページ20
Aはしまったと思い、恐る恐る恵を見る。
『言わなきゃ駄目…?』
恵「言いたくないなら、後で聞くけど?」
Aは無理だ…これは逃げ切れないヤツだ…と諦め、何の事かわかっていない一同に向き直る。
『…昨日言いそびれた事が一つあって…その、剣心の恋人、です…』
剣「!…今言うか!!」
薫・弥・左「……え、ええ〜!!」
Aは顔が熱くなるのを感じながらも沈黙が続く。Aからすれば、薫が剣心の事が好きなのにな…と思っていると、薫は案外、暗い顔をしなかった。
薫「そっか、そうだったのね」
『えっ…でも、薫は、剣心の事…』
薫「良いの! 私の身勝手な考えだっただけだし…剣心の気持ちを踏みにじるつもりも無いもの…だから、良いの!」
Aはどう反応するのが良いのかわからず、曖昧な返事をする。
『そうか…』
弥「ん?という事は、まだ嫁入り前ってことか?」
『まぁ、そうなる…』
左「じゃあ、ここでやるか!」
薫「ここは私の道場!勝手に決めないで!」
恵「あら、良いんじゃないの?Aの白無垢が見れるわけだし」
剣「と…!取り敢えず、その話は後にしてくれないでござるか?!俺とAが保たない!!」
『…剣心、口調。戻ってるよ』
剣「あっ…すまない、でござる」
皆は剣心が動揺している事を珍しそうに見る。
『でも、良いかもね。ここでやるのも…今すぐ、とは言えないけど、自分の…剣心に会う前にあった事でケリがついたら、その時に…ね?』
剣心はそんな嬉しそうな顔は反則だよ。拒否するつもりは端から無いけど…絶対、反対できないのわかった上でやってるなぁ…確信犯め…と思いながら、きまりが悪そうな顔をする。
剣「そうでござるな…」
そんな様子の剣心を見て、弥彦は思った事をそのまま言ってしまう。
弥「剣心って…Aの押しに弱いんだな」
左「確かに、そうだな」
恵「惚れた弱みって事ね。A、上手く使いなさいよ」
剣「お主ら、好き勝手言わないで欲しいでござる…」
薫「事実じゃない?」
『さぁ?そういうモノなのかな…?まぁ、参考にはするかもな…』
剣「A!」
『冗談だって!今まで、そう言って実行して無いじゃん!』
そう言ってAが笑い始め、それにつられてみんな笑い始める。
朝食後、突然、薫が慌て始める。
薫「いけない!今日、前川道場に出稽古じゃない!弥彦、準備は?!」
弥「お前、忘れてたのかよ!出来てるよ!」
薫「流石!そうだ!剣心も行かない?」
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作者名：つっさん | 作成日時：2019年10月1日 9時
