もう一人の人斬り (ページ18)

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18話ページ18

弥彦はやれやれと首を振る。
弥「じゃあ、俺は寝るから。おやすみ」
薫「うん。おやすみ」
お風呂から上がったらAさんのお部屋にお邪魔しようと思う。薫は上機嫌で、お風呂の中でも、あれがああだったから、こうなるのかな?でも、あっちの件どうなるのかな?と妄想は止まらず、長風呂をしてしまった。
薫「お風呂…長く入りすぎた気が…」
薫は反省しながら着替え、髪の毛を乾かそうと水気を飛ばしながら脱衣場をあとにした。その足でAさんのお部屋にお邪魔しようと、向かうが留守にしていた。
薫「偶然よ…そうよ。偶然なだけ…」
Aは剣心の部屋をあとにした後、縁側で一服してから自室に戻ると薫が障子の前に立っていた。何かを呟いたようだけど、何を言っているかはわからなかった。
『あれ?薫、どうしたの?』
薫「えっ…!どうしよう!口に出てた?!違うの!勝手に入ろうとかそういうのじゃ無くて…」
『何で必死に言い訳してるのかよくわからないけど、続きを読みに来たんでしょ?良いよ。入って』
Aは薫を部屋の中に入れた。Aは文机の上に置いてある原稿の一部を取って、薫に渡す。
『はい、これね。冒頭から大体、前四分の一のところかな?』
薫「ありがとう!ここで読んでも良い?」
『どうぞ、どうぞ。気が済むまでここにいれば良いよ』
薫は直ぐに小説の世界に入って行ってしまった。その間、Aは一人さっきの出来事を思い出しては、自嘲気味に溜息を付いた。薫は内心で、その展開をこう持ってきたのね。それから、ああしたのかぁ!なるほど!面白いわ!と思っていると、あっという間に読み終わってしまった。
薫「続きが…予測不可能だわ…反則ね、これ」
『おや、読み終わったか。一気に読むとは…感想は?』
薫「う～ん…なんて言えばいいんだろう?ただただ、主人公は凄いし、かっこいいんだけど…何処と無く、Aさんに似てる感じがするのよね…」
『おお、なるほど…そう感じるか…まぁ、大方当たりだな。主人公は俺の過去に少し理想を足したから似てるのかもな』
薫「そうだったのね。続き、楽しみにしてるね!おやすみ、Aさん!」
『おやすみ、薫』
Aの部屋から自室に戻る途中、薫はふと思う。
薫(Aさんの過去、か。幕末、剣心と一緒だったのは聞いてるけど…その前はどうだったのかな?何で、性別を偽ってるのかに関係しそうだけど聞きにくいなぁ…)
考えているうちに自室に着き、布団を敷いて寝ようと思いながら準備をして、そのまま寝てしまった。