もう一人の人斬り (ページ16)

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16話ページ16

薫「えっ…何をしたら、そんなに稼げるのよ?!」
Aは一般年収を知らないため、なぜ薫が驚くのかが不思議であった。
『一応、物書きをしてるんだけど…知ってるかな…?西野隼人って名前なんだけど…』
薫はそれを聞くと、ギョッとする。
薫「えっ!嘘!［花の如く］の作者だったの!?いつも楽しみにしてるの!ねぇねぇ、新刊はいつ出すの?!」
『そろそろ出すよ…と言うか、明日出版社に出向くからね』
そう言っているちAは剣心で有ろう気配を感じるも、直ぐに引き返してしまった為、怒ってるのでは?と思うも、薫との雑談に意識を戻す。
薫「本当に!!…その…ちょっとだけ読ませてくれないかなぁ～って思ってるんだけど、駄目よね?」
『少しだけなら構わないよ。全部読まれちゃうと面白みがなくなっちゃうからね!』
薫「やったぁ!約束ね!」
薫は上機嫌で部屋へ戻っていった。
その頃、左之助は食べ終わると何時もなら直ぐにどこかへ行ってしまうが、ここに残っていた。
左「剣心よぉ～。いつからそうだって知ってたんだよ?」
剣「幕末からの仲だって言ったでござろう?」
左「はぁ～…で、どこまでいってるんだよ?まだ、背中を預けられる仲間っ言うつもりか?」
剣「あの頃は、先の約束が出来なかったでござるから気持ちだけ伝えたでござるが…夜の仲ではござらんよ」
実際は嘘であるが、左之助の事だから気が付くだろうと思って、剣心は言う。
左「正直に言わねんだな…」
剣「おろ?嘘ではござらんよ。拙者が臆病なだけでござるよ」
左「じゃあ、何で悲しそうな顔をしてるんだよっ?!臆病だぁ～?それでも良いのかよ?!」
左之助はそう言って、胸ぐらをつかんで怒鳴る。剣心は驚くも、左之助自身が怒り以上に、Aの"何か"を感じていた。剣心は彼女の悲痛な思いを感じていたのかもしれないと冷静になろうとする。
剣「お主に何がわかる?Aが今までにどんな人生を送ってきたか…拙者ですら、未だに教えてくれない部分がある。だから…」
剣心は左之助の手を弾いた。左之助と弥彦は驚いた様子で剣心を見る。剣心は内心、本格的におかしくなってしまったと感じる。剣心自身でも説明のつかない感情が渦巻いていた。
剣「すまない。少し頭を冷やしてくるでござる。薫殿には言わないでおいてくれぬか…」
弥「おっ….おう。わかった」
剣心が情け無いなと頭を抱えながら台所を後にすると、縁側でAと薫殿が話していた。話があると言っていた事を思い出し、その場を引き返して自室へ戻った。