第57話 ページ10
｢家まで送ってこうか？｣
｢あ、私このままキヨんち寄って渡してきちゃうわ｣
｢そっか｣
喜んでくれるといいね、そう微笑むフジだったが、なんだか悲しそうに見えたのは気のせいだろうか…
｢じゃ、俺こっちだから、気をつけてね｣
｢うん！今日はほんとにありがと〜フジも気をつけてね！｣
ばいばい、そう言ってフジとは逆方向へ歩き出した。
｢いつ見てもでかい家だこと｣
目の前には大きな扉。そして大きな家。
フジと別れてからそのままキヨの家にたどり着いた。
『いまひま？』
そうLINEを送ると、数秒後には既読がつく。
｢相変わらず暇人なんだな｣
連絡するの忘れてたから、念のためLINEを入れたけど意味無いねこれは。うん、まあいっか。
そんなことを考えているうちに、ピロンッピロンッと連続で鳴る通知音。
『ひま』
『じゃないけど』
『ひま』
｢どっちやねん｣
なんて一人ツッコミを入れつつ返事を返す。
『いまからいく』
というかもう来てるんだけどね。
『り』
という返事が来た瞬間ピンポンを押す。
ピンポーン
数秒後扉が開き、気だるそうに出てきた赤髪の男。
｢よっ！｣
声をかけると一瞬驚いた顔をしたが、すぐに扉を閉めようとするものだから無理やりこじ開ける。
｢ちょ、まてまてまてまて｣
｢はえーよ｣
｢お前絶対ここでLINE送ったろ｣
真顔でいうキヨに、正解！と元気よく答えると再び扉を閉めようとする。
｢おい！！！！｣
必死に扉にしがみつくと、今度はゲラゲラ笑い始める。
なんなんだこいつは。
｢早く入れよ｣
｢いやお前が入れなかったんだろ！｣
二人で言い合いをしつつ、リビングへと向かう。
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作者名：白虎 | 作成日時：2016年5月26日 1時
