第34話 ページ38
｢うっ…重い…｣
寝苦しさで目を覚ますと部屋は真っ暗で、何も見えない。
｢誰か…いる？｣
起き上がると人のような黒い影がベッドに突っ伏しているのがなんとなくわかった。
恐る恐る顔を近づけるとその正体は…
｢き…キヨ！？なんで…｣
そうだ、確かアイスを取りに行ってもらって…そのまま私寝ちゃったのか。
起こそうかどうしようか迷っていると、
｢んん〜…｣
｢あ、起きたかな？？｣
目が暗闇に慣れてきたところでトントン、と肩を叩いてみる。
｢キヨ〜｣
｢ん〜…｣
｢ごめんね、もう夜だし親帰ってくるから…｣
そう言うと、
｢あ、やべぇ、寝てたわ｣
そう言って体を起こすキヨに、こちらこそごめんと伝え、電気をつけようとベッドから降りる。が、その瞬間目眩がしてよろける。
｢あっぶね…大丈夫か？｣
｢ご、ごめん…平気だから…｣
間一髪のところでキヨに支えられる。
近い。顔が。近い。
急いで離れるとキヨが電気をつけてくれた。
｢やば、もう18時になる…！｣
親はいつもそのくらいの時間に帰ってくる。
悪いことしたつもりは無いが、知らない男が部屋にいたら絶対めんどくさいことになる。
なんとしてでも親が帰ってくる前にキヨを外に出さねば…
そう思いとりあえず家から出ようとするが体がいうことを聞かない。
｢うわぁ〜体痛い…｣
聞こえないように小さく言ったつもりだったが、彼の耳には届いていたようで…
｢いいから寝とけって｣
｢いや、でも悪いから玄関まで送ってく…｣
｢いいって｣
｢いやそういうわけには…｣
そんなやりとりをしばらくしていると、
｢ただいま〜｣
ガチャッと玄関の扉の開く音と共に母の声が聞こえてくる。
終わった…
そう思い途方に暮れていると、親？とキヨに問いかけられ無言で頷く。
すると、
ガチャッ
｢え、ちょ、どこ行くの！？｣
｢お前の親に挨拶してくるわ。帰ってきて知らない男いたらビビるだろ｣
｢いや、でも…｣
どうしようか戸惑っていると、扉から離れゆっくりと私の元へ近寄ってくる。
｢大丈夫だから、心配すんな｣
そう言って私の頭にポンッと手を乗せると優しくなでたあと、部屋から出ていった。
そんな彼を、恥ずかしさと嬉しさで声が出ない私は無言で見送った。
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作者名：白虎 | 作成日時：2016年2月12日 3時
