第32話 ページ35
数分後…
ピンポーン
寝てしまっていたのかチャイムの音で目を覚ました。
寝れば治ると思っていたが何も変わらない。
重い体を起こすとゆっくりと玄関へと向かう。
「はい〜…」
扉を開けると両手に袋を持ったキヨが立っていた。
「よお、大丈夫…じゃねぇな」
「…(ほ、ほんとに来た…)」
まさか本当に来るとは思っていなかったので、驚きすぎて声が出ず、ただ彼を見つめる。
「おーい」
「あっ、す、すみませんわざわざ…どうぞ入ってくだs…」
「ちょっ、おい…！？」
入りやすいように扉を開いた瞬間、目の前が真っ暗になった。
ふと目が覚めたらベッドの上にいた。
「あれ、私寝てたんだっけ…」
いや、おかしい。
確かチャイムがなって、キヨが来ていて、扉を開けて…
「どうなったんだ！？」
そのあとの記憶がない。
なのに自分はベッドにいる。なぜだ…
働かない頭を無理やり働かせていると、ガチャッと扉が開く音と共にキヨが入ってきた。
「起きたのか、大丈夫か？」
「あれ、キヨ、え…え？」
「お前倒れたんだよ、玄関で」
訳がわからなくて戸惑って
「…え？」
それでも理解できずに間抜けな声を出す。
「だから、見舞いに来たら出てきた瞬間倒れたの。んで俺がここまで運んだ」
そう言われてやっと理解した。
なるほど、だから私はここで寝ていたのか、なるほどなるほど…
「すみません、ありがとうございました、お手数おかけしました」
そう言って深々とベッドの上でお辞儀をすると、キヨは別にいいよと言って笑ってくれた。
「それにしても熱でぶっ倒れるなんて…お前体弱ぇのな」
「いや、むしろ強い。めったに風邪引かないし熱も出ないから、出た時がやばいんだよね」
なんて笑いながら話している間も実はしんどかったりする。
今すぐ横になりたいがキヨの前。
わざわざ家まで来てくれてるのに寝るのは申し訳ない…ということで必死で耐えている。
頭の中のぐるぐるして座っているのか寝ているのかもわからなくなる。
そんな中なんとか笑顔を保ちつつ相槌を打っていると、
「それと…」
と言って私はキヨに無理やり寝かされた。
突然の出来事に頭がついて行かず、ぼーっと天井を見つめる。
すると顔を覗き込む形で視界にキヨが入ってきた。
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作者名：白虎 | 作成日時：2016年2月12日 3時
