第26話 ページ28
「本番開始まで5秒前〜！！4…3…」
2、1…とスタッフのカウントが続き０のタイミングで今日の司会の方が挨拶とともに小走りで入っていく。
それだけですごい歓声が上がる。
私はそれをステージ裏から見ながら次の仕事まで待機する。
「最終兵器俺達さん入りまーす」
スタッフの掛け声とともにステージ裏に来る4人組。
「よろしくお願いしまーす」
「お願いしまーす」
「よろしくお願いします〜」
「お願いしゃーす」
こーすけ、ヒラ、フジ、キヨの順で入ってきた最俺は私を見つけると、お！っと声を出して近付いてくる。
「Aちゃんよろしく〜！」
「よろしく〜！」
こーすけとヒラに言われ、こちらこそとペコペコする。
「無理しないようにね！」
続いてフジに声をかけられ、フジも頑張れと告げ3人の後ろ姿を見送る。すると、最後にキヨが近づいて来たと思ったら頭をガシッと掴まれた。
「俺だけ見てろよ」
「っ…！？は、はい…」
訳がわからなかったがとりあえず返事をした。
俺だけ見てろってキヨだけを見てろってことだよね…いや言われなくても見るんだけどさ…
エ、ナンデスカ…？
そんなことを言われて嬉しい気持ちと一緒にもやもやとした感情が沸き上がる。
頭にクエスチョンマークをたくさん浮かべて悩んでいると…
＼ぎゃあああああああああ／
聞こえてきたのは黄色い歓声。いや、もはや悲鳴。
ステージを見ると4人が大きく手を振りながら挨拶している。
さすが最俺、人気すぎる…
こんな人たちと仲良く話せる時が来るなんて…
「なんて幸せなんだ」
4人を見ながらもう口癖のようになってきた言葉をポツリと呟く。
「Aさん！こっち手伝って！」
「あ、はい！！」
スタッフさんに呼ばれ、4人を見ていたい気持ちを抑えて仕事を再開する。
「声だけは聞こえるし、まあいいか。」
4人の声一人一人に耳をすませながら仕事を進めていく。
頼まれた仕事を終える頃には4人のステージも終盤となっていた。
急いでステージ裏に戻るとキヨと目があった…気がした。
気のせいだろうか、若干微笑まれた気がする。
いや、気のせいだろう。
きっとライブとかでよくある、◯◯と目があった！！とかいうやつだろう。
こんなに人がいるのだ。
その中の一人と目が合い、さらにその一人に向かって微笑むなんて現実ではありえない。
「よっしゃー！！フジ罰ゲームな！！」
「まじかぁー…！！やばいのはやめて、ほんと、まじでちゃんと考えてね…！？」
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作者名：白虎 | 作成日時：2016年2月12日 3時
