第16話 ページ18
「ふぁ〜」
ふと目を覚ますと空は明るくなっていた。
昨日フジが帰った後ご飯も食べずに寝てしまったらしい。
ふと時計を見るとまだ朝の8時。
昨日フジが帰ったのが夕方だから14時間も寝ていたようだ…。
「さすがに寝すぎた…」
とりあえず何か食べようとリビングに降りたが何もない。
両親は仕事に行っているため誰もいない。
「仕方ない、コンビニ行こう…」
部屋着のまま上にコートを羽織るとマスクをして外に出た。
「さむっ！！！！」
もう三月といってもまだ朝は寒い。
家の鍵を閉めるとイヤホンを耳に入れる。
お気に入りの曲を流しながら歩いてコンビニに向かった。
コンビニに着くといつものバイト仲間がいて、おはようと挨拶をしてからご飯を選ぶ。
「何食べよう…ラーメンでも食べようかなあ」
ブツブツ言っていると、自動ドアの開く音と共にコンビニでよく聞く音が流れる。
その瞬間聞こえてきた騒がしい声。
「お前なんで飯買ってこねぇんだよ」
「だって家になんかあると思うべ？」
「俺んちに何かあると思ったのかよ」
「いや、ごめん」
大きな話し声と笑い声。
どこかで聞いたことがある声。
思わず振り返るとそこにいたのは…
「フジ…？」
「あれ？Aちゃん？…だよね？」
声がいつも以上に低いからか確かめるように聞いてくるフジ。
そうだよ、と答えると小走りで近づいてきた。
「こんな早くからどうしたの？ちゃんと寝た？？」
「寝たよ〜あの後すぐ寝ちゃって今起きたところwww」
フジと笑いながら話をしていると背後にいた背の高い赤メッシュの入った男性が近寄ってきた。
「フジ、誰？」
不機嫌そうに聞く彼はどこかで会ったことがある顔にそっくりだった。
どこかで…どこで…どこ…
「あ！！！！！！！」
思い出して思わず大きな声を出してしまった。
「この前痴漢から助けてくれた方ですよね！？」
そう、彼はこの前痴漢に襲われた時に一緒に警察署まで来てくれた人だった。
「あー！この前の！！あれから大丈夫だったかー？」
思い出してくれたのか心配してくれる彼。
「なに？キヨAちゃんと知り合いなの？」
「いや、この前こいつ痴漢にあってて俺がー…って、え？なんて？」
「え？知り合いなの？」
「いや、その前」
Aちゃん？と不思議な顔で言うフジを見て固まる“キヨ”と呼ばれた彼。
「「え！！！？」」
私と彼の声が重なる。それに驚くフジ。
私も驚きすぎて開いた口がふさがらない。
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作者名：白虎 | 作成日時：2016年2月12日 3時
